投稿日:2007年11月14日 作成者:yasunaka
CNET Japan上のブログ記事で、江島健太郎さんの日本IT業界絶望論を興味深く読みました。またその後に投稿している希望は突然やってくるもなかなか面白い内容です。
私自身はシステム開発会社もサービス業に変わっていくべきだ、という持論の持ち主なので、江島健太郎さんのいう顧客指向への批判については正直あまり同意してはいません。たとえどんな商売をやろうと、顧客の顔を思い浮かべながら商売をするというのは基本中の基本だと思うからです。またお客様に喜んでもらえることとは、他人からの評価を得るということであって、それこそが自信の源泉だと思います。お客様に喜んでもらえなければ結局は自己満足で終わってしまうのだといつも感じています。だから、やっぱり顧客指向は重要だと思うのです。
ただ、先のブログを読んでみて、ものすごい危機感については共有できた気がしています。実際、SIのシステム開発の現場にいて、技術ギークよりもリレーションシップ・マネジメント担当のほうが先に出世していくようなケースを目の当たりにして、何か違和感のようなものを覚えたのは事実です。
顧客とのリレーションシップは重要です。でももっと重要なのは、その顧客にどれだけの本質的価値を提供することができたのか、ということではないでしょうか? もしリレーションシップだけが良くて提供する中身がない、なんてことになれば非常に恥ずかしいことだと思います。
日本も、もっと中身で勝負できるように変えて生きたい。本当にそう思います。
投稿日:2007年11月13日 作成者:yasunaka
日本社会は裏・表というか、建前と本音が分かれているとよく言われています。みなさんも日常の中で、この建前と本音を使い分けていませんか?
システムについても、「建前のシステム」と「本音のシステム」の2つがあるのだと感じることがあります。建前のシステムというのはコンプライアンス上とか、監査上などの理由で「必要な」システムです。MUSTなので、ないとまずいのですが、導入する側としては「まああればいいじゃない」という感じで導入するものかもしれません。一方「本音のシステム」とは、それを導入していることによってビジネスがうまく回り、あー本当にこれはいいシステムだ、なければ困る、というシステムです。
ちなみに例えば監査系のシステムが本音のシステムになり得ないか、というと必ずしもそうではないと思います。システムによっては監査することがビジネスに直結していて、使う側が、あー本当にこれはいいシステムだ、なければ困る、と思っていてくれれば、それは本音のシステムだと思います。
システムを売る人からすると、実は建前のシステムのほうが売りやすいのかもしれません。なぜならばそれは必要なものであり、導入する側もそれほど熱を入れないので、後腐れのない売り方ができるでしょう。一方の本音のシステムは、導入する側としても力が入るので、いろいろと注文が出て大変です。
でも、システムとして意味のあるのはやはり本音のシステムでしょう。特に作る立場(技術者)からみたら、どうせやるならば本音のシステムを作って、使う人に満足してもらいたいと思うのではないでしょうか?
投稿日:2007年11月09日 作成者:yasunaka
Webを使ったシステムで、検索する際のキーとして全角の数字での入力をさせるものが、たまにあります。例えば住所などを何気なく入力して、確認ボタンを押したら「全角で入力してください」と言われてちょっと「?」と悩む。あ、そうか、番地の番号などが半角だったのだ、とようやく気づく。そういうケースです。
ちなみに全角で日本語、英語が入り乱れていると、ハイフンがカナのーになってたりすることがあって、後で見ると恥ずかしくなります。できれば数字や英語などはやはり半角で入力したいもの。
まあ、作っている側の論理からすれば検索などのことを考えて、入力データを揃えるのは「当然」なのですが、使う側の論理では「ありえない」ことになります。システムを設計する側は普通この手の問題には気づいているものですが、全体の工数などを考えて、仕方なくそうなっているのだと思います。
根本的には、こういった問題に対処するためのライブラリを整備していくのが正解なのだと思います。(たぶん上記のような問題への対処するライブラリなら、すでにどこかにありそうですよね) ぜひ積極的にそのようなライブラリ整備を進めていきたいものです。
投稿日:2007年11月01日 作成者:yasunaka
会社の前のイチョウの木が黄色に変わり始めました。もうすぐ落葉してしまいます。
落葉してしまうと、窓をさえぎるものがなくなってしまうのが困ります…
投稿日:2007年10月30日 作成者:yasunaka
秋ですね。今日もいい天気です。
投稿日:2007年10月25日 作成者:yasunaka
私のもっとも嫌いなものの1つ、それがこの「権威主義」です。なぜならば、私自身が今まで、だいぶこれでいやな思いをしてきたからです。
権威主義の元では、ベンチャーは活躍する場がありません。(権威のあるベンチャーがいれば話は別ですが) どんなに技術的な、もしくは専門的な能力では負けないと自負があったとしても、この権威主義の前では何のアドバンテージにもならないからです。
でも世の中には意外と権威主義的な人って多いですよね。例えば、超有名メーカーから派遣されてきた人達のいうことはホイホイ聞くのに、そうでない立場の人に対してはやたら懐疑的・否定的な人。私はいままでそういう経験をしたことが何度かあります。ちなみにそういうケースに限って、その超有名メーカーから派遣されてきた人達が明らかに勉強不足で、トンチンカンなことを言っていたりする場合があって、あぜんとすることがありました。
私自身が以前は大手企業(?)側で働いていた人間だったのですが、そこから逆にベンチャー側に移ったときに、ああ、こういう風に人のことを見ている人がいるんだ、と強く感じたものです。
権威主義の人というは、中の人を見ずに看板を見て判断していることが問題なのですが、当の本人からすると、それで「自分はリスク回避できた」つもりでいます。つまり何の疑いもなく、「○○という看板を背負った人達が判断した結果」だから正しいとすることによって、自分自身に降りかかるリスクを回避しているつもりになっている、ということです。
でも、それって、単に思考を停止しているだけなのに気づいていないんです。その結果、被害を受けるのは、実は自分の所属している組織自身だってことは忘れないで欲しいものです。
投稿日:2007年10月24日 作成者:yasunaka
レイト・マジョリティとはマーケティングの世界で有名なイノベーター理論の中に出てくる分類の1つです。これは1962年に米のスタンフォード大のロジャース教授が発表した理論で、知っている人も多いのではないでしょうか? イノベーター理論とは新商品購入に対する態度を、購入の早い順に分類すると、以下のようになるよ、という理論です。
1.イノベーター 目新しい物好き。全体の2.5%
2.アーリーアダプター 新しい価値を見出す人々。オピニオンリーダー。全体の13.5%
3.アーリーマジョリティ 慎重だけど、皆よりは取り入れるのが早い人々。全体の34.0%
4.レイトマジョリティ 懐疑的な人。皆がやっていないと取り入れない。全体の34.0%
5.ラガード 最も保守的で、伝統になるまでは動かない。全体の16.0%
企業間取引のケースで考えた場合、企業のサイズが変わってもこの割合って変わらないのでしょうか? なんとなくですが、経験的に、大きな企業になるに従って下のほうの割合が増えてくるように思えます。つまり大企業になるほど、レイトマジョリティの割合が増すのではないかと。
同じような話で、プロジェクトにおいても、そのヒエラルキー構造の中で上の立場になるほど、上記の分類におけるレイトマジョリティ側の人が増えるように思えます。
つまり、大きな企業とか、偉い立場になるほど、一般的に新しいものに対して慎重になる傾向があるのではないかと。あくまで私の主観的な話なのですが。
私自身は、仕事においてはアーリーアダプターでありたいと思っています。(仕事以外の部分は結構レイト・マジョリティの部分が多いかもしれませんが)
皆さんはどうですか?
投稿日:2007年10月23日 作成者:yasunaka
物事はシンプルなほうが良い。これは昔から、いろいろなことに対して言われていることだと思います。システムにしてもそうです。同じことを実現するのであれば複雑であるよりはシンプルなほうが良い。そのほうがバグを減らしやすいし、メンテナンスも楽です。なぜならば、理解しやすいから、です。
文章にしてもそうです。シンプルな文章のほうがわかりやすいですし、相手に伝わります。
シンプルさは、コミュニケーションや相互理解のための基本原則といえるのかもしれません。
しかし、シンプルであるというのは、実に難しい。本当にそう思います。何が難しいのかというと、「何を残し、何を削るべきか」という判断です。シンプルにするためには、余計なものを一切そぎ落とし、中の一番重要な、本質的なことだけを残すようにしなければなりません。
つまり、雑多な物事の中で本質的な部分とそうでない部分を分類する能力が問われるのだと思います。物事をシンプルにする能力というのは、この分類する能力と非常に近いのかもしれません。
投稿日:2007年10月04日 作成者:yasunaka
先日からの競争入札に関するシリーズ、第3弾です。
そんなのあるか?(あるわきゃないだろ!)ってタイトルですね。もしそんな方法が存在していたら、皆がその方法を導入するので、結局は常に勝つというのはありえない。それはそうです。
だた1つだけ、方法があります。それは対象の領域において、競争のない、唯一の存在になることです。唯一の存在であればそもそも競争にはなりません。また唯一の存在の場合には、公共機関であっても随意契約が認められたと思います。
もちろん現実問題として、唯一の存在になるというのは通常は不可能に近い話です。対象領域でデファクトスタンダードとなれれば唯一の存在だといえますが、普通はそのデファクトスタンダードを目指しても、そうなれるものではないから苦労しているのですよね。
でも、たとえデファクトスタンダードなどという大仰しいものになれなくても、もしある特定の機能を提供できる唯一の存在になれたとしたら、少なくともその機能を欲する発注元からみれば唯一の存在になることができます。たとえそれ以外の部分は他のベンダーからも提供可能なものであったとしてもです。
つまり、画期的なイノベーションを独自に持つことができ、それがある機能を実現する唯一の方法となる場合、それを武器として競争のない世界へいけることを意味しています。イノベーションが大きな価値を創造するということです。
投稿日:2007年10月03日 作成者:yasunaka
昨日の競争入札の話と若干絡む話題ですが、今日はベンダーの評価について書いてみます。昨日は競争入札制度について疑問を投げかけたのですが、そうは言ってもこれについてより良いベンダーの選定方法があるかといえば、正直なところ、現時点ではなかなか難しいのだろうと考えています。なぜならば、ベンダーを評価する客観的な指標といえるものが存在していないからです。
現状の競争入札制度は客観的な指標として、価格に非常に重きをおいたものと考えることができます。これは非常に明快な指標であり、ブレがありません。従って客観的な判断材料としては非常に優れた指標です。
ただ、目的(システムを品質、コスト、納期をバランスさせてもっとも良い状態で完成させること)を達成するための指標としては偏った指標であるといえます。
もし、より適切な方法を考えるのであれば、KPI(Key Performance Indicator)のような考え方が必要なのかもしれません。ただしこれを行うためには、主成功要因(CSF)は何か、それを表す指標(KGI)は何なのかをシステムを発注するたびに、事前に定義する必要があります。また参加するベンダーはみな、普段から指標値を計測しておき、発注元から求められたときにその値を提出できるようにしておかねばなりません。またその値が正しいかどうかを監査する第三者機関も必要になります。
そもそもシステム開発を成功させるためのCSFは何で、それを適切に表すKGIとしては何を参照すべきかについてはかなりの研究が必要で、そうおいそれと「とりあえずこれで行こう」というわけにはいきません。
いままでシステムの開発工数を算出するための研究というのはいろいろ行われてきたと思うのですが、適切なベンダーを導出すためのファクターを研究したというのは、私が知らないだけかもしれませんが、少なくともあまり有名なものはないのではないでしょうか?
将来に向けて、こんな研究を行う大学があっても良いと思いますが…