投稿日:2009年05月29日 作成者:yasunaka
いや、これは、あまりにもすごくて言葉を失った。
Google wave
まさに「やばい」という言葉がぴったりとくる。Googleはまた、ものすごいものを作ったものだ。
リアルタイム・コラボレーションツールということで、最初はCISCOのWebExみたいなものか?と思っていたのですが、これはもう完全に、異次元のプロダクトです。
おそらく、ビジネス分野においても次世代の「メール」のような存在のツールになるのではないでしょうか? そのぐらいのインパクトがありそうなプロダクトです。
単に技術的にすごいというだけでなく、使えそうなシチュエーションがいろいろと想像できます。いろいろな場面にWaveが入り込んできそうです。
ドキュメントを中心としたコラボレーションという意味では、当社プロダクトのcrossnoteに近い部分があります。実際複数人が同時にドキュメントを修正し合い、変更点を互いに教えあうことができる、という点は同じです。Waveはそれをリアルタイムにやっているのが技術的にすごい。スライダーバーひとつで過去の履歴を瞬時に辿ることができるってのも、カッコいい。
まあ、crossnoteはリアルタイムである必然性はないと考えていますが。(別に負け惜しみではなく、こちらを参照⇒CDSとコンカレント性)
冷静に考えてみると、実はGoolge Docsの延長線上にあるプロダクトであると感じます。Google Docsをコラボレーションという軸で昇華させたプロダクトといえましょうか?
技術的には、今までGoogleが開発してきた様々な要素技術を惜しみなくつぎ込んだ、ものすごいものになっています。GearもGWTも結局これを作るためだったんだな、と気づいたとき、Googleの真の強さ、そして(これだけのものを作り上げることができる)怖さがわかった気がしました。
投稿日:2009年05月22日 作成者:yasunaka
Yahooの先頭ページのリンクに次のような記事がありました。
なぜPCの利用時間の3割は「ムダ」なのか
読んだら書かずにはいられなくなりました…
「無能な管理職が「暇な社員」をつくり出す」というところで、次のようなことが書いてあります。
*** 引用 ***
ある企業が監視ソフトを導入したときのこと。ある女性社員が、会社の仕事は短時間で済ませてしまい、残りの時間は自分で立ち上げたオークションサイトを1日中運営していたことが判明した。それまでなぜ、誰も気づかなかったのかといえば、彼女は「女性社員ではナンバーワン」と言われるほど優秀な人物で、仕事ぶりが完璧だったからである。
そこで、経営者が本人を呼び出して理由を問いただしたところ、彼女は泣きながら答えた。
「仕事がないんです」。
*** 引用終わり。文脈を理解する上で元の記事を参照することをお勧めします ***
この記事では優秀な社員が暇にならないように仕事を与えるのが優秀な管理者で、管理者が無能だから社員が遊ぶのだ、という論調です。
もちろん、本人が仕事が無いことを訴えていたのに上司が適切に対応していなかったのが判明した、という良い面もあるかもしれませんが、もしこの当人であれば、これはだいぶ傷ついたのではないでしょうか?
まあ、社会的に考えれば上記のような状態に問題があるのは事実です。でも、それを監視することで社員に暇なく仕事を与え続けることが管理者の役割ではないと私は思います。
極端に言えば、本当に優秀で、通常の人以上に仕事をしているのであれば、余った時間は(ちゃんと認めてもらったうえで、という前提付きですが)別なことに費やすというのも、ありなのではないでしょうか? またそうすることで仕事へのインセンティブが沸くのであれば、全体的にはそのほうがかえって効率が良いことになりそうだと思います。
もし、暇な時間を作らないために、必要もない仕事を押し付けられたら、誰だって嫌になり、生産性は向上しないと思います。しかもそれをチェックするために監視するというのはどうなのでしょうねぇ。
監視ツールは本来社員の不正行為を防ぐために使うべきものであって、社員を管理するために利用するのは本末転倒な気がしたのですが、皆さんはどう思われますか?
(追記:そうそう。Tom DeMarcoの「ゆとりの法則」がお勧め)
投稿日:2009年05月11日 作成者:yasunaka
昨日、crossnote ver 1.4.0をリリースしました。今回のリリースでは、今までの1.3系列から1.4にバージョン番号を上げ、数多くの機能改善を行っています。
1.Word 2007ファイルのcrossnoteドキュメントへの変換機能
Word 2007ファイルをcrossnoteに変換して取り込めるようになりました。Word 2007ファイルにcrossnoteのテンプレートを適用して取り込むことができます。今まではエクスポート(取り出す)だけだったわけですが、これで取り込み側もサポートできたことになります。
2.テンプレート登録機能
crossnoteドキュメントや外部ファイルなどをテンプレートとして登録することができるようになりました。
テンプレートの登録先としては
■プロジェクト
■ポートフォリオ(プロジェクトの上の階層となる入れ物)
■会社全体
を選ぶことができます。例えばポートフォリオに登録すれば、そのポートフォリオに所属するプロジェクト全体でテンプレートを共有できるようになります。
3.Just Right!4等による校正支援機能
Just Right!4は株式会社ジャストシステムの文章校正支援アプリケーションです。crossnoteのドキュメント上で直接Just Right!を使って校正の指摘および訂正作業を行えるようになりました。
校正支援ボタン(またはF9キー)を押すと校正指摘処理を行い、該当箇所に背景色が着きます。その部分で(Eclipseユーザにはお馴染みの?)CTRL+SPACEキーを押すと校正指摘の内容とヘルプ画面がポップアップします。変換候補を選べばその内容に置き換わります。次の候補を探すにはF4キーを、前の候補に戻るにはSHIFT+F4キーを押します。
Just Right!4の校正支援機能を利用するためには、
■ Just Right!4 CE
■ 指摘情報出力オプション for Just Right! CE
を予めPCにインストールしておく必要があります。
なおJust Right!とは別に、crossnoteの機能として正規表現によるルールベースで指摘する機能もあります。予めプロジェクト毎にチェックすべきルールを登録しておけば、校正支援アイコンを押すだけで文章のチェックを行うことができます。組み込みルールとして、半角カナやNEC特殊文字、IBM拡張文字などのチェックを用意しました。
4.サーバー側処理能力向上のための分散処理対応
技術的な内容なのでちょっと「地味」に聞こえるかもしれませんが、複数のアプリケーション・サーバーで受け持つユーザを分散させることができるようになりました。分散していても管理は1つの管理ツール(Admintool)で集中管理することができます。
これによりユーザ数に応じたスケールアウトがしやすくなりました。
5.その他の改善
■ドキュメント・キーワード機能の改善
■パスワード運用に対する強化サポート
■URI検索機能
今回のリリースの詳細はこちらをご参照ください。
サポート
他にもいろいろと細かい機能改善をしています。
ぜひお試しください。
注)Just Right!は株式会社ジャストシステムの登録商標です
投稿日:2009年05月08日 作成者:yasunaka
この5月に入って残念なニュースが2つも。
LingrとRejawサービス終了のお知らせ
Upstart software company Lunarr to close
LingrとRejawサービスは江島健太郎さんがインフォテリアUSAで立ち上げたサービス、Lunarrはサイボウズを起業された高須賀さんが立ち上げたサービス(というか、こちらは会社)です。どちらもだいたい3年を経過したところでシャットダウンを決めたようです。
ちょうど当社と同じころに立ち上がったITベンチャーで、(当社と違って!?)両者とも注目を浴びていた存在だったので、それが期を同じくして止めてしまうというのを聞くと、非常に寂しいというか、残念な気持ちです。
LingrとRejaw、そしてLunarrはいずれもコンシューマに向けたコミュニケーション・サービスの事業化を狙ったものだといえます。率直な感想としては、この領域は流行ったけど、ビジネスにするのは結局かなり難しい領域なのだ、ということです。ユーザが増えてくればいずれ商売として成り立つ、という考えで進めても、最終的にどうやってマネタイズするかが見えていないとビジネスとしては成り立たない、ということかもしれません。
もうひとつ付け加えるならば、広告モデルでサービスが成り立つと誰もが幻想を抱いていた、「古き良き時代」にメジャーになれなかった、つまり単に時期を逸してしまった、ということなのかもしれません。
投稿日:2009年05月07日 作成者:yasunaka
今、出張で東北新幹線に乗っています。
E-Mobile経由でcrossnoteを使ってみたのですが、問題なく動きました。E-Mobileもカバー範囲がだいぶ広がってきたようですね。
ちなみにcrossnoteにはオフラインモードがあって、インターネットが使えない状況でも利用できるようになっています。オフラインモードでもcrossnoteドキュメントは修正可能です。(オフラインモードの場合、いくつかの機能制限があります。たとえば比較機能などは動きません)
投稿日:2009年04月15日 作成者:yasunaka
@ITにRubyの作者であるまつもとさんの講演をまとめた「ソフトウェアは工業製品ではない」という記事が載っています。「コード(ソフトウェア)を書くというのは、組み立てのことではなく、製造業でいう「設計」に相当する」と述べています。以前、ひがやすをさんも同じようなことを言ってらっしゃいましたが、まさにその通りだと思います。
ソフトウェアを作るという行為は上から下まですべて設計であって、手順どおりに同じ製品を作り続ける生産工程ではないのです。
おそらく製造業との対比で言えば、工場に相当するのはデータセンターなのでしょう。
ただ、日本においては一般に、ソフトウェア開発というのは工場における製造と同じようなものと考えている向きが多いのではないでしょうか? コーディングなどの実際にプログラムを作る作業を「製造」と表現する場合がありますが、これなどはまさにその典型だと思います。
この考え方の根底にはウォーターフォール的な思考に基づいて、上流工程が設計のすべてであって、下流工程はただ単に機械的な作業をしているという考え方があるのではないでしょうか? しかしもしそのような機械的な作業ですむことであれば、ソフトウェアの世界ではとっくの昔に自動化されて、人間がやらなくても良い作業になっているはずです。
以前、何かの資料で読んだのですが、日本のソフトウェア開発は、コストは若干高めで生産性は低いそうです。なぜこんなことになっているのか考えてみたのですが、コード(ソフトウェア)を作るという作業を単なる「同じ製品を作り続ける生産工程」だと考え違いをしている間は、人材も育ちません。結果として、いつまで経っても生産性の向上は望めないのではないでしょうか?
投稿日:2009年04月08日 作成者:yasunaka
日本のソフトウェア産業に関わる人って、普通どの程度「ソフトウェア」について勉強しているのでしょうか? こんなことを書くのも、職業プログラマの中にもあまりにも程度の低い、メンテナンス不能なプログラムを書く人が結構多いと感じるからです。
プレゼンテーション層(JSPとか)にごりごりロジックを書きまくる人。
クラス名や変数名に一貫性の無い人。
言語における「普通の」コーディング規約を知らない人。
インデントすら、まともに書けない人。
すべての処理をstaticメソッドで書き上げる人。
言語に標準で付いているライブラリを利用せずに、都度ロジックを自前で書いている人。
一度動いたら、自分の書いたソースコードの見直しをしない人。
意味を理解せずに、前の人と同じように書いているだけの人。
ソースコードのバージョン管理が出来ていない人。
ソフトウェアの技術動向に無頓着な人。
以前、SEとプログラマの対比をこのブログで書いたことがありました。私の持論としては、SEとプログラマの違いは職種の違いであって、上とか下とか関係ない、と思っているのですが、現状は違います。
その原因として、一般のプログラマのレベルがあまりにも低いことも原因のひとつではないかと感じます。
職業にするということは、プロフェッショナルなわけですよね。ところが日本のソフトウェア産業はプロフェッショナルを育てようという意識が希薄です。これではいつまでたっても日本のソフトウェア産業は世界に太刀打ちできないのではないでしょうか。
投稿日:2009年03月05日 作成者:yasunaka
本日、crossnote ver 1.3.5をリリースしました。今回のリリースでは以下のような機能改善を行っています。
1.更新チェッカー機能の追加
メールのような更新チェック機能を追加しました。タスクトレイに通知されます。
2.コミット時のメール送信などのコミット操作の改善
今まで指定された案件番号をリストから選んで入力できるようになりました。また過去入力したコミット・コメントもリストから選んで入力できます。
さらに、コミット時にメールで知らせる機能も追加しました。これで普段crossnoteを起動していない人に通知することも簡単になりました。
3.検索機能の改善
■ 検索の対象範囲を特定のプロジェクトやフォルダなどに限定できるようになりました。
■ 複数の検索キーワードの結果を切り替えられるようになりました。
■ テキスト、WordやExcel、PowerPointなど、外部ファイルの中身も検索できるようになりました。(ただし97-2003フォーマット)
なお最初の検索処理は時間がかかる場合がありますが、そのようなときにはバックグラウンドで実行させておいて他の作業をすることが可能です。
他にも、質問・コメントビューアーの追加や表示倍率に「表示幅に合わせる」を追加など、様々な機能追加を行っています。
投稿日:2009年02月05日 作成者:yasunaka
最近Office 2007を使い機会が徐々に増えています。その中でも使うことが多いのはExcel 2007なのですが、Excel 2007ってリボン化に伴い、メニュー体系が大幅に変わりましたね。
最近Excelファイル中の図形をちょっと修正しようと思い、Excelを立ち上げたら2007で、どこをどう探しても2003まであった図形描画のツールバーが表示されません。
ちょっと直線が引きたかっただけなのに。(罫線じゃないです)
ヘルプファイルを見たり、カスタマイズ機能を探したり、散々いろいろして、最終的にはもちろん何とかなったのですが、それだけのことを実行するのに、軽く10分近く要したかな?
たかが10分と侮ってはいけません。「なんでこんな基本的なことが簡単にできないんだ!」 イライラの絶頂になります。最高の不機嫌状態です。マウスを投げつけたくなります。もしこれが締め切り間際の仕事の最中に起こったら、完全にアウトです。
リボン化そのものは別に悪いことではないと思うのですが、メニュー体系がまったく変わってしまうのはいただけません。バージョンが変わる度に一度覚えた操作体系をまた覚えなおさなければならなくなるというのは、いかがなものでしょうか?
Officeは仕事のためのソフトなのですから、見た目がちょっとカッコいいという部分を追求してしまったためにバリバリ仕事に使っている人たちが躊躇してしまうような変更は避けてもらいたいと、切に思いました。
# ちなみにメニューを2003風に戻すアドインが出回っているらしいです。
投稿日:2009年01月23日 作成者:yasunaka
最近、あるシステムの事例で、SaaSという仕組みの良さを(逆説的に)実感できたことがありました。
残念ながらその事例について詳細を話すことはできないのですが、1つあらためて深く感じたことは、企業内ではシステムが長い期間使われ続けるということです。一旦稼動しだしてしまえば、長年使われ続けるというのも、当たり前のことなのですね。
この結果、例えば業務用のパッケージソフトが10年以上に渡って使われ続ける、なんてことも当たり前にあるわけです。
でも問題なのが、OSとハードウェアです。伝統を誇る(?)IBMのAS400(今はeServer iSeries)ならいざ知らず、例えばWindowsだってMacOSだってUnixだって、10年前のOSというのは大抵メンテナンス対象外になっています。
これはOSメーカからすれば仕方ないことですが、業務用パッケージを使っている側からすればそんなことは関係なく、使い続けたいわけです。でもそのためにいちいち自分達で手をかけて(すなわちコストを時間をかけて)、OSやパッケージソフトのバージョンアップ作業をこまめに続けていく企業なんて、そうそうないでしょう。
でもSaaSならば、サービス提供者側が黙っていても勝手にやってくれるのです。サービス提供者側はサービスを提供する上で障害となることは排除しなければなりません。ですので、サーバ側の基盤とするOSやハードウェアはサービス提供者側の責任で、バージョンアップしていくことになります。
SaaSのメリットというとオン・デマンド的な部分が強調されがちですが、長期間使い続けるという観点でも、基盤環境のバージョンアップをサービス提供側が継続的に実施するというのは大きなメリットなのだと感じました。