投稿日:2009年06月19日 作成者:yasunaka
私は小さい頃から何かモノを作るのが好きな人でした。例えば子供時代、砂場で遊んでいるときも、山を作ったり、ダムを作ったり、とにかくいろいろなものを作って遊ぶのが好きだったようです。
でも一方で、そういうのを破壊するのが好きな子供もいますよね。そういう子とは良くけんかしていたかもしれない。
何にせよ、作り上げるという行為は時間のかかる作業です。地道にいろいろなことをやらないと、物にならない。一方で、破壊するという行為は一瞬で終わります。
かかる時間を厭わない人は、モノを作ることが好きな人になるし、面倒くさいと思う人は破壊することが好きな人になるのかもしれません。
今日のYahooのニュースに「Perfumeかしゆかにデート報道」という記事が載っていました。私は音楽については普段クラッシックやジャズを聴くことが多いのですが、(大昔はDTM野郎だったこともあって)、Perfumeは好きで良く聴いています。それで気になってネットのブログなどを眺めてみたのですが…
そこで感じたのが信用(ブランド)の構築の時間と喪失の時間の差です。「Perfume」という信用(ブランド)を構築する作業は、モノを作る作業と同様にとても時間のかかる作業だったはず。一方で破壊するのに要する時間は一瞬なんだな、と。
アイドル(なの?)に対する「思い」と「信用(ブランド)」というのは一見関係がないようですが、無形資産という観点では同類です。
Perfumeというグループが一生懸命時間をかけて信用(ブランド)を構築してきたのに、世の中には破壊することが好きな人も多いようで、つまんないことをあれこれ言われて、あっという間に壊されてしまう。それで、ちょっと子供時代の砂山を思い出してしまった次第です。
企業にとっても同じことかもしれません。信用(ブランド)とは財産であって、構築には非常に時間がかかるものです。しかし失うときは一瞬。
私のような者からみたら上記の記事の内容は(その1週間前の記事の件も合わせて)微笑ましく思える程度だし、モノを作る側の立場の人間として、ここはぜひ踏ん張ってさらにステップ・アップしていただきたいです。破壊者に負けずに、がんばれ。
投稿日:2009年06月19日 作成者:yasunaka
日経新聞の朝刊に連載されている「私の履歴書」は私が大好きな読み物の1つです。今月は経済学者で一橋大学名誉教授の篠原三代平さんが書いていますが、今朝(6/19)の産業政策論というのが久々にぐっと来た内容でした。
時代は昭和30年代初期。日本はそこから高度成長を遂げるわけですが、篠原さんは当時、これからの産業政策がどうあるべきかを通産省の若い役人の方々と自宅で夜遅くまで議論し合っていたそうです。
その時代、日本の輸出産業で強かったのは価格が国際的に安かった繊維工業でした。一方、自動車産業は技術進歩の可能性が非常に高いと考えられたものの、産業としてはまだまだ非弱なレベルだったそうです。
その時代のベストな選択肢としては、おそらく繊維工業を産業政策の中心に据えるというものだったのかもしれません。しかし篠原さんは次のように書いています。
『が、後発国は、先進国を追い上げるには10年、20年先の諸産業の成長可能性まで視野に入れなければならない。それが、需要サイドから言えば「比較需要成長率」や「所得弾力性」の大小であり、供給サイドでは「比較技術進歩率」の大小なのである。』
弱者が強者に勝つためには、長期のビジョンと今後を予測できる数字(この場合は経済統計値)を持つべし、ということなのでしょう。
今の現状だけを見ていたらだめだ、ということですね。つまり未来は現状の延長線上にあるのではないよ、とも受け取ることができます。成長の変化率を考えなければならないのです。
投稿日:2009年05月29日 作成者:yasunaka
いや、これは、あまりにもすごくて言葉を失った。
Google wave
まさに「やばい」という言葉がぴったりとくる。Googleはまた、ものすごいものを作ったものだ。
リアルタイム・コラボレーションツールということで、最初はCISCOのWebExみたいなものか?と思っていたのですが、これはもう完全に、異次元のプロダクトです。
おそらく、ビジネス分野においても次世代の「メール」のような存在のツールになるのではないでしょうか? そのぐらいのインパクトがありそうなプロダクトです。
単に技術的にすごいというだけでなく、使えそうなシチュエーションがいろいろと想像できます。いろいろな場面にWaveが入り込んできそうです。
ドキュメントを中心としたコラボレーションという意味では、当社プロダクトのcrossnoteに近い部分があります。実際複数人が同時にドキュメントを修正し合い、変更点を互いに教えあうことができる、という点は同じです。Waveはそれをリアルタイムにやっているのが技術的にすごい。スライダーバーひとつで過去の履歴を瞬時に辿ることができるってのも、カッコいい。
まあ、crossnoteはリアルタイムである必然性はないと考えていますが。(別に負け惜しみではなく、こちらを参照⇒CDSとコンカレント性)
冷静に考えてみると、実はGoolge Docsの延長線上にあるプロダクトであると感じます。Google Docsをコラボレーションという軸で昇華させたプロダクトといえましょうか?
技術的には、今までGoogleが開発してきた様々な要素技術を惜しみなくつぎ込んだ、ものすごいものになっています。GearもGWTも結局これを作るためだったんだな、と気づいたとき、Googleの真の強さ、そして(これだけのものを作り上げることができる)怖さがわかった気がしました。
投稿日:2009年05月22日 作成者:yasunaka
Yahooの先頭ページのリンクに次のような記事がありました。
なぜPCの利用時間の3割は「ムダ」なのか
読んだら書かずにはいられなくなりました…
「無能な管理職が「暇な社員」をつくり出す」というところで、次のようなことが書いてあります。
*** 引用 ***
ある企業が監視ソフトを導入したときのこと。ある女性社員が、会社の仕事は短時間で済ませてしまい、残りの時間は自分で立ち上げたオークションサイトを1日中運営していたことが判明した。それまでなぜ、誰も気づかなかったのかといえば、彼女は「女性社員ではナンバーワン」と言われるほど優秀な人物で、仕事ぶりが完璧だったからである。
そこで、経営者が本人を呼び出して理由を問いただしたところ、彼女は泣きながら答えた。
「仕事がないんです」。
*** 引用終わり。文脈を理解する上で元の記事を参照することをお勧めします ***
この記事では優秀な社員が暇にならないように仕事を与えるのが優秀な管理者で、管理者が無能だから社員が遊ぶのだ、という論調です。
もちろん、本人が仕事が無いことを訴えていたのに上司が適切に対応していなかったのが判明した、という良い面もあるかもしれませんが、もしこの当人であれば、これはだいぶ傷ついたのではないでしょうか?
まあ、社会的に考えれば上記のような状態に問題があるのは事実です。でも、それを監視することで社員に暇なく仕事を与え続けることが管理者の役割ではないと私は思います。
極端に言えば、本当に優秀で、通常の人以上に仕事をしているのであれば、余った時間は(ちゃんと認めてもらったうえで、という前提付きですが)別なことに費やすというのも、ありなのではないでしょうか? またそうすることで仕事へのインセンティブが沸くのであれば、全体的にはそのほうがかえって効率が良いことになりそうだと思います。
もし、暇な時間を作らないために、必要もない仕事を押し付けられたら、誰だって嫌になり、生産性は向上しないと思います。しかもそれをチェックするために監視するというのはどうなのでしょうねぇ。
監視ツールは本来社員の不正行為を防ぐために使うべきものであって、社員を管理するために利用するのは本末転倒な気がしたのですが、皆さんはどう思われますか?
(追記:そうそう。Tom DeMarcoの「ゆとりの法則」がお勧め)
投稿日:2009年05月08日 作成者:yasunaka
この5月に入って残念なニュースが2つも。
LingrとRejawサービス終了のお知らせ
Upstart software company Lunarr to close
LingrとRejawサービスは江島健太郎さんがインフォテリアUSAで立ち上げたサービス、Lunarrはサイボウズを起業された高須賀さんが立ち上げたサービス(というか、こちらは会社)です。どちらもだいたい3年を経過したところでシャットダウンを決めたようです。
ちょうど当社と同じころに立ち上がったITベンチャーで、(当社と違って!?)両者とも注目を浴びていた存在だったので、それが期を同じくして止めてしまうというのを聞くと、非常に寂しいというか、残念な気持ちです。
LingrとRejaw、そしてLunarrはいずれもコンシューマに向けたコミュニケーション・サービスの事業化を狙ったものだといえます。率直な感想としては、この領域は流行ったけど、ビジネスにするのは結局かなり難しい領域なのだ、ということです。ユーザが増えてくればいずれ商売として成り立つ、という考えで進めても、最終的にどうやってマネタイズするかが見えていないとビジネスとしては成り立たない、ということかもしれません。
もうひとつ付け加えるならば、広告モデルでサービスが成り立つと誰もが幻想を抱いていた、「古き良き時代」にメジャーになれなかった、つまり単に時期を逸してしまった、ということなのかもしれません。
投稿日:2009年02月05日 作成者:yasunaka
最近Office 2007を使い機会が徐々に増えています。その中でも使うことが多いのはExcel 2007なのですが、Excel 2007ってリボン化に伴い、メニュー体系が大幅に変わりましたね。
最近Excelファイル中の図形をちょっと修正しようと思い、Excelを立ち上げたら2007で、どこをどう探しても2003まであった図形描画のツールバーが表示されません。
ちょっと直線が引きたかっただけなのに。(罫線じゃないです)
ヘルプファイルを見たり、カスタマイズ機能を探したり、散々いろいろして、最終的にはもちろん何とかなったのですが、それだけのことを実行するのに、軽く10分近く要したかな?
たかが10分と侮ってはいけません。「なんでこんな基本的なことが簡単にできないんだ!」 イライラの絶頂になります。最高の不機嫌状態です。マウスを投げつけたくなります。もしこれが締め切り間際の仕事の最中に起こったら、完全にアウトです。
リボン化そのものは別に悪いことではないと思うのですが、メニュー体系がまったく変わってしまうのはいただけません。バージョンが変わる度に一度覚えた操作体系をまた覚えなおさなければならなくなるというのは、いかがなものでしょうか?
Officeは仕事のためのソフトなのですから、見た目がちょっとカッコいいという部分を追求してしまったためにバリバリ仕事に使っている人たちが躊躇してしまうような変更は避けてもらいたいと、切に思いました。
# ちなみにメニューを2003風に戻すアドインが出回っているらしいです。
投稿日:2009年01月08日 作成者:yasunaka
正月に実家に戻ったときの話です。PCの具合が悪いというので、ちょっとチェックするということになったのですが、あまりにも示唆に富む内容だったので、ここに書いておきます。
まず背景として、私の親はWindows 95時代からコンピュータを使ってワープロしたり、インターネットしたりしていたので、比較的早くから親しんでいたほうだと思いますが、そうはいっても基本的に素人です。仕組みがわかっているわけではなく、単に「使っている」というだけです。
で、実家にはワープロとしてバリバリ現役のWindows 95マシンと、インターネットに接続するためのWindows XPのノートマシンがあります。Windows 95マシンは主に母親が自分の作品を書くためにワープロとして使っているのですが、ウィルスチェックソフトで動くものはもう存在しない&あったとしても動かすと遅くて使い物にならなくなるので、外部には一切接続しないで使っています。インターネットを使って調べ物をするときにはXPのマシンを使います。
なぜ、2つのマシンを使う必要があるのか? それは1つにはノートのキー配列が使いにくいというのもあると思いますが、もうひとつ、XPのマシンのほうが動作が遅いという事情もあります。
CPUを比較すると、Windows 95のマシンは初代Pentiumの200MHzぐらいで、一方のXPのマシンはPentium 4の2GHzぐらいのマシンです。しかしWindows 95マシンとXPマシンを電源起動時からの全体で比較すると、どうもWindows 95のほうが早くWordを起動することができ、かつ動作も十分快適なのです。!!!
CPUの速さで比べたら、圧倒的にXPマシンのほうが早いはずなのに、です。
さて、ここで輪をかけて事態を悪化させることが起きていました。家族の者が、XPマシンにこっそり最新版のOffice 2007をインストールしてしまったのです。
さて、どうなったと思います?
マシンは起動してまともに使えるようになるまで、数分かかるようになってしまいました。IMEは遅くてまったく使い物になりません。(ちなみにこの件は以前このブログで回避法を書いています) 母親は、これではあまりにも遅すぎてインターネットで調べ物も出来ない、とこぼしていました。
でも実家の者でOffice 2007をインストールしたことで動作が遅くなったということが分かる人は誰もいなかったのです。まあ、当然です。普通の人だったら、そもそもそんなことを調べようとも思わないでしょう。最新版をいれたのだから、普通は何か良くなることを期待するでしょう。悪くなることを想定できる人はシステム屋さんだけです。遅くなったら、ああ、よくわかんないけど、遅くなったな、ということで単に我慢してしまうのではないでしょうか?
ちなみにこのXPマシンはOffice 2007をアンインストールして、元の状態に戻りました。原因を特定してアンインストールして…というのに私の数時間を費やしてしまいましたが。
そういえば、会社でCore 2 Duo + VistaのノートPC + Office 2007を使っていても、使いやすくなったと感じることはないなぁ、と思いました。
ソフトウェアは何のために進化しているのか? ちょっと考えさせられる出来事でした。
投稿日:2009年01月06日 作成者:yasunaka
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
最近ブログをあまり更新できていませんが、少しずつ書いていきたいと思います。
投稿日:2008年10月28日 作成者:yasunaka
ついに来た、という感じでしょうか?
Microsoft、クラウドOS「Windows Azure」を発表
Amazon EC2のように、Microsoft自身がデータセンターを運用し、Windows Serverのクラウド版とでもいうべきAzure Service Platformを提供する、ということのようです。
Microsoftの開発環境(Visual Stadio)などを使って開発ができるという点で、プロプライエタリ とはいえ、業界標準ともいえる開発環境なので、以前PaaS(Platform as a Service)で書いたように「独自の環境」に取り込まれてしまい、他の環境へ移ることが難しいという問題を実質的にクリアできそうだと思います。
最初はインターネット向けのサービス基盤としての利用が多いと思いますが、私はこれは社内システムの構築基盤として有力な候補になってくる可能性があるように思えます。つまり社内システムをWindows Azure上で構築するということです。
ある意味、データセンター業務に相当する分野に本格的にMicrosoftが乗り出してきたということになります。利用する側から見ればチャンスであり、逆に今までの提供する側にとっては、かなり脅威に感じるところも多いのではないでしょうか?
投稿日:2008年10月20日 作成者:yasunaka
相変わらず@IT自分戦略研究所の後藤和彦さんのコラム下流から見たIT業界「SEとPG、どっちが頭がいい?(1)」が面白いです。少し攻撃的な内容ですが、とても共感を呼びますし、ためになります。ぜひ読んでみてください。
ただし、私はSEという職種は必要だと考えていて、そういった観点では後藤さんとはちょっと意見が異なります。
そもそもSE v.s. PGのような職種間での上下関係という考え方そのものが間違っている、と考えています。(参考システムエンジニアとプログラマー) 本来やる仕事の内容がぜんぜん異なるものであり、どっちが偉いとかいう話ではないはずです。でも今までの日本のシステム開発の現場では、PGの上がSEという固定観念が出来上がっています。これは悲しい事実だとしか言いようがありません。
そもそもSEとPGではやるべきことが異なります。顧客の要求仕様(機能要件、非機能要件)をまとめ、仕様を確定させたり、出来上がったものがその要求仕様に合致したものかどうかを検証したりするのがSEです。また複数のPG間のコーディネイト役としてモジュールやインターフェースを設計する場合もあります。要求仕様を満たすためのデータ設計も必要です。しかしSEがやるべき仕事とはそこまでであって、中身を創り上げる実装はPGの仕事です。
ある程度の規模のプロジェクトの場合、SEの仕事はPGの仕事の片手間にやるようなものではないはずです。世の中にはPGとやることがあまり変わらないSEがはびこっているとすれば、それはおそらく上記のシステムエンジニアとプログラマーに書いた「自称SE」なのではないでしょうか?