投稿日:2008年02月06日 作成者:yasunaka
SaaS型のアプリケーションの運用において、データを運用者側に預けることがセキュリティ・ポリシー上問題になる、というお客様は結構います。アウトソーシングモデルでも同じような問題があるとはいえますが、アプリケーション毎に契約先が異なるSaaSの場合、一括して運用を任せるアウトソーシングに比べ、問題にされやすい傾向があります。
これはデータを預けるという行為が、相手を信頼しなければ成り立たない部分があるからだと思います。アウトソーシングの際には1対1の関係で、相手のことを十分に理解したうえで依頼するわけですが、SaaSの場合のように、このアプリケーションはここ、このアプリケーションはこちら、のようにアプリケーション毎に依頼先が異なると、個別にまかせられるのかどうかのチェックが必要になると大変なわけです。
先日、経済産業省のほうからSaaS向けSLAガイドラインというのが公表されました。その中ではインターネット経由で利用する場合に、障害が発生した場合の使えなくなる期間の長さや、データ保管に関するサービス内容、範囲、品質などを保証するためのガイドラインが含まれています。
内容を見ると、自社所有のスタイルに比べSaaSのモデルがいろいろな面で優れていることがわかるのですが、安全性の面からいろいろと検討事項があることもわかります。預けるデータの質やコストとの見合いもあると思いますが、できる限り安全なものを提供していくことがサービスを提供する側の努めだと思います。
当社としても、SaaS型でのサービスを提供するものとして、できるだけ早くSLAをお客様にご提示できるよう準備を進めて行きたいと思います。
投稿日:2008年01月29日 作成者:yasunaka
昔のホストコンピュータ全盛時代はすべての処理はサーバ(ホストコンピュータ)で行われていましたが、それがPCの時代になり、一時は逆にほとんどの処理がクライアント側で実行されるようになりました。それがWebの時代に入り、またサーバ側に集められたかと思いきや、またAjaxが出てきて、画面周りの処理はクライアントに戻され、と、行ったり来たり。処理をサーバ/クライアントのどちらで行うべきか、というのは永遠のテーマのようです。
基本的にはビジネス・ロジックはサーバで、といわれます。ビジネス・ロジックを処理するためにはデータが必要ですが、データはサーバ側で一元的に扱うべきものだから、という側面があると思います。昔はそれが極端に走ってビジネス・ロジックをDB上のストアド・プロシジャで書くのが流行った時期がありましたが、メンテナンス性や移植性(特定のプラットフォームにロックインされてしまうこと)の観点で問題が多いように思えます。確かにストアド・プロシジャのデバッグはあまりやりたくないですよね。
最近SOA(サービス指向アーキテクチャ)が取り上げられることが多くなっていますが、これは処理すべき単位(サービス)をできるだけPureに、Simpleに設計することで「どこで処理をする」という部分にできるだけ自由度を与えるやり方だと思います。このどこで、というのは通常はサーバを指すと思うのですが、SOAの考え方を広げれば、極端に言えば別にサーバでなくてもいいわけです。
SOAで作りました、でもすべての処理は1つのサーバで集中処理しています、ということであれば、実は昔のホストの一極集中型処理と本質的には変わらないことになります。いろいろなところのサービスを「利用して」新しいサービスを創造する、というのがSOAの真髄です。「処理」を行うための束縛からできるだけ自由でありたい、そういうインフラを徐々に整備していくべきなのでしょう。
最後に。とはいえ、これらの自由を保ったまま適切なパフォーマンスを実現するためには設計上の工夫が必要です。これって昔の分散オブジェクト(CORBAとか)の設計と同じなんですね。心して設計しましょう。
投稿日:2008年01月28日 作成者:yasunaka
先日Suiteの話をしたのですが、最近ハードウェア付属のソフトウェアも十分Suite化していますよね。これってなんとかならないの?って話です。
例えばプリンター。最近インクジェット・プリンターとかは、安くていろいろ機能満載で、とてもお得感がありますが、付いてくるインストーラを実行すると、非常に大量の、いろいろなソフトが同時にインストールされてしまいます。実際どれが必要なのかがよくわからないので、とりあえず「全部入り」にしてしまうのですが、信じられないくらい大量のソフトがインストールされてしまいますよね。
そしてデスクトップ上は使いもしないソフトウェアのオンパレードになるわけです。自動更新が動くものもありますが、使っていないソフトのバージョンアップが動いて、OSの再起動を要求されると腹が立つのは私だけでしょうか?
あとデジカメ。これも付いてくるインストーラを実行すると、それ専用?の接続ソフト類がいろいろとインストールされてしまいます。PCの中をのぞいたら同じようなデジカメ用のソフトがいくつもインストールされていた、なんて話を聞いたこともあります。
これらはハードとその周りのソフトを一体のものとして扱っているので、こうなってしまうのだと思いますが、使う側としてはソフトは一本化して、ハードはドライバだけで切り替えて使えたほうがありがたいと思うのですが、皆さんはどう思いますか?
できるだけインストールする量を減らし、必要な機能をSaaS的に利用できれば最高なのですが。そんなメーカーが出てくれば、それだけでアピール・ポイントになると思うんですがね。
ちなみに良く考えてみると、OSも似たような状況ですね…
投稿日:2008年01月25日 作成者:yasunaka
私がシステム系の仕事が好きですが、なぜ好きかと聞かれると、作ったものを皆に評価してもらえるのがうれしいから、と答えます。特にちょっと面白いものを作って、「あ、これすげー!」って言ってもらえたときの快感がたまらなく好きで、この仕事を続けてきた気がします。
今思うと子供のころから何か作り上げるのが好きで、それを「すげー!」って言ってもらえるのがとても好きな子だった気がします。でもたぶん、この業界にはそういう人って結構多いのではないでしょうか?
ソフトウェアの世界はアイデアだけで魔法のようなものが作り上げることが出来る世界だ、と私は思っています。だから楽しい。私たちプログラマーは、魔法を使う術を知っているわけです。
しかし一方で最近良く思うのが、あまり魔法が効かなくなってきたな、ということです。自分の腕が落ちたというよりは、世の中があまり魔法に驚かなくなってきた、ということでしょうか?
実際今パソコンの画面で展開されている動きって、今から10年、20年前の人が見たらみんな目を丸くして驚くような、そんなことが当たり前になっていて、ちょっとやそっとのことでは驚かなくなってしまっているように思えます。「魔術師」達にはだんだん難しい世の中になってきたのではないでしょうか?
では、次のトリックは、何を狙いますか?
投稿日:2008年01月23日 作成者:yasunaka
2日前のブログで、あるパッケージ・スイート(Suite)のインストールが大変だった、という話を書きましたが、そのスイートでうまく動かないソフトがあったので、電話で問い合わせてみました。そのときの応対が非常に好印象だったので書いておきます。
商品を販売している会社の場合、たいていコールセンターを持っていますが、情報系の会社の場合、「極力、電話をかけてくるな」という姿勢の会社が多いように思います。これはコールセンターの運営費のことを考えると仕方がないことなのかもしれません。説明書のどこをどう探しても電話の受付番号が全く書いていない場合もあります。書いてあってもだいたい自動応答になっていて、なんだかよくわからないメニューに従って右往左往した挙句、オペレータには出てもらえないことも良くあります。運よくオペレータにつながったとしても10分、20分待ちは当たり前、というのでは誰でも怒り心頭になるというもの、でしょう。
電話による受付を隠している会社の場合、一応WebにQ&A集があって、自分で何とかしろ(今はググレカスっていうんですか?)、という場合が多いのですが、役に立たない場合もあります。そうなってしまうとやはり電話で話したいところです。
先のパッケージ・スイートの会社について、私が好印象を持ったのは、以下のような点についてでした。
1.自動応答のメニューの内容がWebで公開されている。なので、どの番号を押せば目的のところにたどり着けるのかが予めわかる。
2.電話上でのライセンス確認などの手段が簡単になっている。
3.電話での応対を減らそうという「意図」が感じられなかった。
1.に書いた自動応答のメニュー・マップをWebで公開するというのは、非常にありがたいと感じました。電話で自動応答されたときに、ながながと説明を受けた挙句、どの番号を押したらいいのかが結局わからない、なんてことが良くあるからです。(ちなみに英語でこれをやられるとつらいですよね…)
2.に書いたライセンス確認手段が電話の自動応答で行われるのは最悪だと思います。番号にはいろいろな番号があって、会社側がライセンス確認に用いている番号がどれなのかがユーザがわからない場合も多いですし、そのIDが保存されていない場合もあるからです。ライセンス確認する手段をいくつか用意しておき、オペレータとのやり取りのなかで、その中のいずれかの番号がわかっただけでもOKにするという方式がもっとも望ましいと思います。
そして、最後に書いた3がもっとも重要だと思っています。自動応答のメニューから「できるだけ電話してくるな」という意図がみえみえの場合、もうそれだけで嫌になってしまうもの。電話での応答は大変な業務だと思いますが、うまくいくと非常に高い顧客ロイヤリティーを得られるかもしれないのです。あまり簡単に電話をかけられてしまうとコールセンターにつながりにくくなってマイナスに作用する、という面もあるのですが、とはいえ、電話をかけてきてくれたお客様に対しては、いつもWelcomeであるべきだと思うのです。
投稿日:2008年01月22日 作成者:yasunaka
SaaS(Software as a Service)が目指している世界として、良く引き合いに出されるのが、「電気・水道」です。電気や水道と同じように社会生活を行う上での基盤、インフラとなることを目指したもの、それがSaaSの究極の姿として説明されることがあります。
ハードウェアとしての情報系インフラとしては電話やブロードバンド通信があります。電話(携帯を含めて)はいまやなくてはならない必須のインフラですし、ブロードバンド通信環境も徐々にそうなりつつあると思われます。ではSaaSはそれに続くインフラとなりうるのでしょうか?
私は正直なところ、インフラとしてのSaaSという説明には正直なところ?と思っています。SaaSによるビジネス・モデルは決して寡占的なものではなく、むしろよりよいサービスを「選択」できる点にメリットがあるのではないでしょうか? ですので、選択の余地のないインフラ=社会共通基盤としての「電気・水道」とは別のものなのではないかと考えています。
SaaSが選択=スイッチすることが可能な仕組みとなっていることにより、サービス間の競争が行われ、自由な価格競争や、より良いサービスが提供されることになります。
SaaSとはソフトウェアの世界の、製造業からサービス業への脱皮のための仕組みであり、徐々に「なくてはならないもの」になっていく可能性が高いと思っています。ですが、選択の自由があるという点で、いわゆる社会共通基盤というよりは、より営利性の高い、自由競争の世界の中で育っていくものだと思っています。
投稿日:2008年01月11日 作成者:yasunaka
昨日のマニュアルの話しの続きなのですが、どんなマニュアルは読みたいと思うのでしょうか?
一般には絵や図が多いこととか、適宜表などを用いてきれいに整理されていることとか、言われていると思います。でも、いくらきれいにまとめられていても、ぜんぜん頭に入ってこないマニュアルが巷に溢れています。(単に私の頭が固い、というのもあると思いますが)
たまに、お、これは、と思うマニュアルもあります。でも、そういうマニュアルは、そもそもその対象物(製品やシステム)がすごくいいもので、その内容を知りたいと思う強い意志が働くので興味がわきやすい場合が多いように思います。そういう場合には、ちょっとカッコいい図で説明されていると、それだけでもうイケてる、と思ってしまうのです。
では読み手がそれほど強く対象物に思い入れがない状態で、お、これは、と思われるマニュアルにするにはどうすべきか? 私なりに悩んでいるのですが、「読んで得した!」と思わせるマニュアルというのはどうでしょうか? 単に読み手に対し、聞かれたことを答えるだけではなく、+αの知識を提供する、そんなマニュアルです。
ちょっと薀蓄が入っている、とか、気の利いた説明があるとか、その周辺のことについて、頭を整理してくれるようなマニュアルです。ウザいですかね?
今書いているマニュアルが果たしてその領域にたどり着けるかどうかはわかりませんが、私なりにTryしてみようと思っています。
投稿日:2008年01月10日 作成者:yasunaka
少し前のブログで書いたように、crossnoteのマニュアルを準備中です。マニュアルを書いていて少し思ったことなのですが、皆さんはマニュアルに何を求めていますか?
思えば昔、OSのマニュアルなどは、1冊の厚さが結構あるような本が何十冊もセットになっていました。その当時、これを全部読む人はいるのだろうか? とか、もし読まずに知らないことがいっぱいあった状態で、何かとんでもないことをしてしまったらどうしよう、などと今考えるとつまらないことを考えていました。
実際、誰からも読まれずに消えていったマニュアルも多かったと思います。
マニュアルって一杯あると、まずその中のどのマニュアルに目的のことが書いてあるのかを探し出すのに苦労します。これはマニュアルが電子化された今でもあまり状況は変わらないのではないでしょうか?
あともうひとつ、技術系のマニュアルを読んでいてよく腹立たしく思うこととして、使っている用語がチンプンカンプンだ、というのがあります。なんだかよくわからない用語がいっぱいちりばめられていて、それらの用語の定義や意味の説明もなしに、操作方法だけが書いているようなマニュアルを読むと破って捨てたくなります。
そこで、crossnoteのマニュアルの方針は、こうしました。
1.マニュアルは薄ければ薄いほど良い!
2.用語はきちんと説明しよう
1つ目は読みきれる量のマニュアルを用意しよう、ということです。些細なことが一杯詰まった、でも誰からも参照されないマニュアルではなく、とりあえず最低限のこと、知っておくべきことだけをまとめて書いたマニュアルを目指したいと思います。
2つ目は、操作を書くのが目的ではなく、背景の概念や意味を説明するようにしよう、ということです。マニュアルに求めるのは、操作方法ではなく、その意味を知りたいのではないかと。
どうでしょうか? よろしければ皆さんのご意見といただければと思います。
投稿日:2007年12月27日 作成者:yasunaka
昨日の新聞の夕刊に「厚労省」をGoogle検索すると別のサイトがトップにでるというニュースが流れていました。非常に利用率の高いGoogleでこのような現象が出ると、セキュリティ的に非常にまずいことが起きそうです。
今回のケースが悪意を持って行われたものかどうかはわかりませんが、検索という行為から目的のサイトにたどり着くという仕組みは、間接的なアクセスで探し出す方式であり、そもそも結果が保証されたものではないことに留意する必要があるでしょう。
昔はインターネット版イエローページというのがあったと思います。またYahooは昔は人間によるディレクトリーの編集作業をしていました。残念ながら昨今のインターネットの爆発的な普及に対して、このような人手による登録というのは追いつかないという問題がありました。
キーワード検索ではない方法として、携帯のi-Modeには公式のメニューページの仕組みがあります。公式メニューからたどり着くサイトの場合、ドコモがそのサイトの安全性をそれなりに保障しているので安全です。この方式ではどの企業を公式メニューに載せるかの判断をドコモが握ることになる、という問題をはらんでいますが、直接的に(キーワード検索に頼らない方法で)目的のサイトにたどり着く方法としては参考になると思います。
もうひとつ参考になると思うのが、いわゆる電話帳です。電話帳には名前と住所などから電話番号を引くことができます。キーワード検索に比べると結果の信頼性は高いのではないでしょうか?
いずれの方法も、残念ながらインターネットにはまだ存在していません。当面はキーワード検索が主流なのでしょう。でもいずれは、キーワード検索に変わる、もっと直接的にアクセスできる手段が生み出されてくるかもしれません。
投稿日:2007年12月26日 作成者:yasunaka
「クラウド・コンピューティング」ってなんだかわかりますか? また、新しい言葉が出てきたようですね。「Firefoxもクラウドコンピューティング対応」という記事が流れていたので、気になりました。
雰囲気的にはSaaSのモデルに似ていて、さらにPCだけでなく、携帯など、様々なデバイスからでも利用可能で、かつユーザの設定やデータなどが、たとえPCを変えても同じように利用できるというのがポイントのようです。さらに人によっては広告によって収入を得るビジネスモデルが入っていなければならない、という人もいるようですね。
いつでも、どこでも、自分が普段使っている状態で利用できるのであれば、これは非常にいい仕組みです。
残念ながらcrossnoteはまだクラウド・コンピューティング対応ではありません。仕組み的には近いところまで行っているのですが、今のバージョンでは残念ながら、あるPCで作業した後、他のPCで同じIDで続けて作業することができません。
将来的には「自己マージ」という機能を用意して、同一のIDで複数のPCで利用できるように修正していきたいと思っています。こうすると、例えば自社のデスクトップPCでやっていた作業の続きが、客先のPCや、手持ちのノートPCでも出来るようになるわけです。