経営者の立場から見たSaaS

投稿日:2007年08月16日 作成者:yasunaka

昨日までは技術者の立場から見たSaaSというテーマで書いていましたが、今日は自分が経営者になったつもりで見てください。以降では受託開発をベースとしたシステム開発型モデルとSaaSを利用したシステム提供型モデルの対比として話を進めます。

昨日の技術者の立場から見たSaaS その2で「改善」という観点の話を書いたのですが、このことは経営者の立場から見た場合、大きな強みになります。

例えば今、Salesforce.comに対抗するようなシステムを受託によるシステム開発型モデルで作り上げることができるでしょうか? SaaSを利用したシステム提供型モデルのシステムはマーケットの要求に応じてどんどん改善=進化していきます。一方でシステムが進化しても価格が上昇するわけではありません。それらはすべて、サービス料の中に含まれているのです。最初は受託でもあまり差がなかったとしても、システム提供型モデルのシステムは徐々に改善を続けた結果、いずれ受託開発では追いつけない高みにいってしまうことになります。

こういうとERPの例を出して否定する人もいるかもしれません。つまり、ERP導入がさかんだったころ、パッケージをベースにしても対象顧客向けの作りこみ(アドイン)が大量に必要になることが多く、かつそのアドインを開発するにはそのERPの専門の技術者でないと対応できないということがありました。このためパッケージを導入してもあまりメリットがなかったじゃないか、SaaSにしてもこれは同じではないの?という意見です。

しかしSaaS時代のシステムの場合、システム間連携のためのインターフェース(API)はWebサービスという標準的な技術で提供されます。これは対象のシステムの専門の技術者でなくてもシステムへのアドインが開発できることを意味し、システムのコンポーネント化、すなわち水平分業化が可能になることを意味します。

継続的な改善は大きな力となります。継続的な改善が可能なSaaSを利用したシステム提供型モデルは受託開発をベースとしたシステム開発型モデルを徐々に駆逐していくことになると考えます。