技術者の立場から見たSaaS その2

投稿日:2007年08月15日 作成者:yasunaka

さて今日は昨日の「技術者の立場から見たSaaS」の続きです。

技術者の立場で考えた場合、SaaSにはもうひとつの大きな違いがあります。それは1度作ったら終わりなのか、何度も改善を積み重ねていくものなのか、という違いです。

システム開発会社の受託したシステムの場合、基本的には作って納品してしまえばおしまいです。もちろん保守もあるにはありますが、エンハンスが続く場合は別として、通常の保守の場合システムの障害対応がメインであり、中身を改善して作りかえるということはあまりしないと思います。

一方のSaaSによるシステム提供会社の場合には、そのシステムは大切な商売道具であり、絶えず改善が求められることになります。作ったらおしまいではなく、中身をどんどん改善していかなければ他の競合他社に負けてしまうのです。

この特徴はパッケージ製品を提供している場合でも同じはずです。つまりパッケージ製品の場合でも、通常は何度も改訂を重ねて改善していきます。ただしパッケージ製品の場合には見た目を華やかにする「売る」ための機能追加がメインになっているとおもいます。一方のSaaSの場合、自社で運用するために実際に「使える」製品にすることにも自然と注力せざるをえません。つまりセールストークのための機能追加よりはシステムの安定性や通常の使いやすさの改善に力をいれなければならないということです。

システムを受託開発するとき、きちんと動きはするものの技術者としては納得のいかないレベルでの納品が必要になる場合があります。そして一旦納めてしまうとそのシステムはそうそう改善するチャンスはありません。しかしシステム提供会社の場合には保守をしやすくするための改善をやるチャンスがあります。もちろんマーケットの要求に応じることが最重要ですが、それをやりつつ、既存のコードのリファクタリングも行うことが当たり前になるのです。

さて、あなたはどちらの技術者のほうが幸せだと思いますか?