投稿日:2007年04月26日 作成者:yasunaka
日経ソリューションビジネスの4月15日号の特集ページ「胎動! IT業界維新」で、NTTデータが「年内に『セル生産方式』のパイロットプロジェクトを走らせる」という記事が載っているようです。(「ようです」と書いたのは、私自身は日経ソリューションビジネスを取っていないので、ITProに公開されている記事の抜粋を読んだだけだから、です。 :grin:)
セル生産方式とはキャノンなどが取り入れて有名になった生産方式で、Wikipediaによると、「1人、または複数人の作業者チームで製品の組み立てを行う。ライン生産方式などの、従来の生産方式と比較して作業者一人が受け持つ範囲が広く、場合によっては最初から最後まで1チームで担当する。」となっています。製造業向けの生産方式の1概念なのですが、NTTデータではそれをシステム開発の現場に適用し、「NTTデータの社員がシステム構築における上流だけではなく、中・下流のソフト開発やテストをパートナーと共同で進める」ことを意味するそうです。
「そんなことはもうやっているよ」っていう会社もあるかもしれませんが、これだけ大手のSI会社が中・下流も自分たちが主体的に絡んでやっていこう、という姿勢が現れているということはとっても良いことだと思います。
このセル生産方式は、作業工程の一人ひとりのスキルの高さを前提に、優れた少人数のエキスパートチームによって製品を作り上げるということがポイントです。少人数のエキスパートチームということであれば、いろいろな雑多で複雑なことを扱うには大組織よりも明らかに向いていますし、中の人達の士気を非常に高く保つことができます。そう、システム開発というのは雑多で複雑なことを扱う、クリエイティブな作業であり、本質的にこのセル生産方式のようなやり方が向いているのです。
またこれを実現するためにはメンバーのスキルを非常に高く保つ必要があります。そのための教育コストは当然高くつくわけですが、結果として、そのコストを軽く補えるほどのリターン、つまりプレミアムが得られるはずです。
NTTデータのこの試みがぜひ成功して欲しいと、強く願ってやみません。
投稿日:2007年04月26日 作成者:yasunaka
ホームページも作らずに先にBlogを始めてしまっていたのですが、ついに会社のホームページが完成しました。
これです。
ホームページを作るに当たって、「そういえば、我が社はまだ売り物ができていない → 紹介するものがない!」という事実に直面しました。 😀
このままでは中身のないスカスカのホームページになってしまいます。そこで、このままではイカンと考え、こんな企画(見てのお楽しみ)も用意してみました。
皆さんからのご感想、コメントなどはこちらのBlogで受け付けます。ネタなども大歓迎です。ぜひ覗いてみてください。
投稿日:2007年04月25日 作成者:yasunaka
昨日のテーマ「システムを使う人、使われる人」の続きです。
またまた「私の履歴書」ネタですが、セブン&イレブンでは日本初の本格的POSシステムが1983年に全店導入されるという話が4/18に載っていました。POSとは販売時点情報管理システムのことで、単に商品の売上げだけでなく、いつ、どんな人が、どんなものを、どれだけ買ったのかをデータとしてかき集め、それを販売予測に利用するというシステムで、少なくとも当時としては非常に画期的なシステムだと思います。でもこれって単なるレジ打ちのはずだった仕事に余計な仕事が増えるケースです。まあ実際にはちょっとしたオペレーションが増えるだけだと思うのですが、とはいってもオペレーションする側が面倒だと思ってやっていると、正確なデータは集まらず、うまく機能しなかったのかもしれません。
セブン・イレブンでやったことは、まずシステムを導入したのではなく、「各店舗の経営相談を行うOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)を通して、オーナーからアルバイトまで単品管理の意識を徹底するように努めた。」とあります。つまり現場の意識改革を最初にやって、その後でシステムを導入したのです。
単品管理の重要性が予めきちんとわかっていて、それを実施したいと現場が考えているのであれば、そのために導入されるシステムは「使われる」ものではなく、「使う」ものになります。自分たちの行う販売予測(仮説と検証プロセス)をやりやすくするための、便利な道具に変身したわけです。
システムに使われる立場の人をなくすためのやり方は1つだけではないと思います。それぞれのシステムによってその方法は様々でしょう。しかしどのやり方にせよ、もともとは「使われる」立場だったはずの人達が主体的に参加できるように業務を改善すること、これこそが普遍的な王道ではないかと私は考えます。
投稿日:2007年04月24日 作成者:yasunaka
システムを新規に導入しようとする際に忘れてはならない点として、今日は「システムを使う人、使われる人」というテーマで書いてみます。
システムを導入するとみんなが楽になる、というのが理想なのですが、現実にはシステムを入れることによって逆に仕事が増える人がいる場合があります。システムの提案・企画をする際にはシステムを使って楽をする人だけでなく、逆にシステムを入れることによって仕事が増えてしまう、拘束されてしまう人達のことをよく考えて設計しないと、「使われないシステム」になってしまう場合があるという話です。
システムを導入する際には業務全体の効率化という御旗の元、新しい業務フローができるケースが多いと思います。例えば何らかのデータを毎日入力する、みたいなものです。データを入力することを専門とする職の人ならばそれでも問題ないと思うのですが、通常の業務をやっている人に、追加する形でデータ入力を強制するような場合、彼らはシステムに「使われる」立場になります。こういった場合、彼らがちゃんとデータを入力するように、業務的に『強制』したりするわけです。
でもこれって、その「使われる」立場と同じ立場・視点で考えてみればわかりますが、面白くない話ですよね。一生懸命入力するまじめな人もいるとは思いますが、大半はまともに入力しません。最初は業務的に強制させることによってなんとか回っていても、いつの間にかきちんとした、意味のあるデータが入力されていなかった、なんてことがよくあると思います。
正直な話、私も過去にこの手の失敗をした経験があります。そのシステムはリリースはされたものの、あまり有効に活用されませんでした。
これはそもそも、強制させればきちんと回せると考えていることに問題があると思うのです。つまり上記のケースでも、データを入力したいと思わせる仕組みが必要だ、ということです。システムに「使われる」と思っている人がいる限り、うまくいきません。システムに関わるユーザがすべてシステムを「使っている」と感じることができるかどうか、にかかっていると思います。
ではそのためにはどうすべきか、これは後日ということで。
投稿日:2007年04月23日 作成者:yasunaka
4月20日のITmediaによると、『米Googleが4月19日発表した第1四半期(1?3月期)決算は、売上高は前年同期比63%増の36億6000万ドル、純利益は同69%増の10億ドル(1株当たり3.18ドル)となった。』とあります。この売上高の36億6000万ドルというのは円に換算して約4300億円になります。ちなみに電通の調査レポートによると、2006年の日本のインターネット広告費は年間で3,630億円となっています。Googleの数値は四半期ベースなので、荒っぽいですが4倍して年に換算すると1兆7,200億円になり、日本全体のインターネット広告費の実に4.7倍にもなります。
まさにガリバーですね。
しかし同時に、日本国内の市場というのは小さいな、としみじみ感じてしまいました。実際Googleは世界各国で売り上げを立てているわけで、だからこそこんなガリバーになりえたのでしょう。日本の国内でシェアをとるというのは、それはそれでとてもすごいことなのですが、それだけでは結局は井戸の中の蛙ということなのかもしれません。
日本は製造業の世界では非常に競争力が強く、サービス業もそんなに捨てたものではないと思うのですが、IT系では残念ながらガリバーといえるほどの会社はありません。特にシステムの世界に限ると常に輸入超過状態であり、Made in Japanが世界に出ていっている例は本当に少ないのが実情です。(知的資産という意味ではRubyという輝かしい宝石もありますが)
一方で中国やインドという国々がこの分野では確実に力を付けてきているのは周知の事実です。日本も今後、どんどん攻勢をかけられるようになるのも間違いないでしょう。
1企業人としてどんなことができるのか? そんなことを考えさせられる記事でした。
投稿日:2007年04月20日 作成者:yasunaka
エスプレッソマシンってかっこいいんですけどね。
BROOKSのコーヒーのほうがやっぱり手軽なんで、あまり…
投稿日:2007年04月20日 作成者:yasunaka
タイトルはスパムメールの話ではありません。
システム開発のプロジェクトではメールは必需品だと思いますが、あまりにも大量のメールがやり取りされていて、結局良く見ていない、なんてこと、ありませんか?
メールって言葉でのやり取りと異なり、やり取りしたことが記録に残るし、後で検索とかもできるので、使って当たり前、いまや空気のような存在に近い(?)のかもしれません。またCC:(カーボンコピー)で関係者に一斉に配布できるので、周知という意味でも非常に優れています。でもその便利さが故に、メール依存度が非常に高まり、システム開発プロジェクトにおいても非常に大量のメールがやり取りされるようになりました。
しかし結果としてあまりにも大量のメールのために、プロジェクトメンバが見なくなってしまっている場合があるとすると、情報共有という観点では本末転倒なのかもしれません。
メールの問題点として、以下のようなことがあると思います。
1.情報が分類されていない。欲しい情報にフォーカスしずらい。
2.メールで意見を表明すると「とげとげしく」見える。
メール自体には情報を分類するための仕組みがないので、自分で振り分けルールを一生懸命作ったり、件名の書き方に統一ルールを作って徹底的に守らせる、などといったことする必要があります。しかしなかなかこの分類をきちんと運用するのは難しいものです。でもこれが無いために、見る側が見たい情報かどうかが中身を見ないとわからないために、いちいち全部チェックするのが面倒くさい→見るのやめた、となってしまうのではないでしょうか?
もうひとつの問題点として、メールで意見を表明すると「とげとげしく」見えるっていうか、よく『炎上』したりすることがありませんか? Face-to-faceのコミュニケーションだと相手の表情がわかるので、相手の感情を考えながら話す内容を変えることもできるわけですが、メールって書いた後にしか、しかも相手のリプライの文面からしか相手の感情が読み取れません。なのでメールだけでやり取りしていると、ちょっとしたことで炎上したりするんだと思います。
プロジェクトの中でそういった現象が起こると、傍から見てよくわからんことで大量のメールがやり取りされることになり、当然その中身はまともに見ない人が増えることになります。
ここはひとつ、メールの代わりにFace-to-faceのコミュニケーションをもうちょっと増やしてみませんか?
投稿日:2007年04月19日 作成者:yasunaka
またまた「私の履歴書」ネタで恐縮なのですが、今朝(4/19)の日経新聞の私の履歴書(セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さん)のなかで、創業以来、周囲からは「なんて非効率なことをしているんだ」とあきれられながらも、OFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー=全国各地で一人7?8店舗を担当する)の会議を毎週、全員を東京に集めて行ってきた、という話が書いてあります。
これ、コストのことだけ考えるとえらく非効率のように思えるかもしれませんが、この会議を単なる情報伝達の場ではなく、互いの考え方や価値観を共有する場としてとらえ、フェイス・トゥ・フェイスのダイレクトコミュニケーションを貫いてきたと説明されています。
このface-to-faceのコミュニケーションって大事なんですよね。話している人の身振り手振り、アイコンタクトなどのような技術的な要素だけではなく、同じような境遇にある人達、仲間がすぐ隣にいて、互いにちょっとしたことでも気軽に話しかけることができて、互いにどんなことを悩んでいるのか、どんなことで成功したり失敗したりしたのか、などなど、いろんなことを共有できるってことがface-to-faceコミュニケーションの魅力だと思います。
セブン・イレブンの場合にはこのOFC会議を使って上から下まで同じ価値観を共有することに成功したわけです。
さて、システム開発の現場の話に戻りましょう。昔はタバコ部屋ってものがあって、そこでは仕事の合間にちょっと一服、タバコをふかしたり、コーヒーを飲んだりすることができました。最近は禁煙の高まりからこのタバコ部屋がなくなったところも多いと思うのですが、実はこのタバコ部屋でのface-to-faceコミュニケーションって重要だったな、と思います。(ちなみに私はずいぶん昔に禁煙しています)
昔、タバコ部屋で交わされる何気ない息抜きの会話の中で、なぜかいろんな仕事上のアイデアが湧き上がってくるのを何度も経験しました。
タバコの場合、吸う人、吸わない人の話があるので今タバコ部屋をそのまま復活させるというのも難しい面があると思いますが、何かこれに変わる新しいface-to-faceコミュニケーションの場を考えていく必要があるのではないでしょうか?
投稿日:2007年04月18日 作成者:yasunaka
ちょっとだけ。
投稿日:2007年04月18日 作成者:yasunaka
今までの話はいかに無駄を減らすか、という観点の話が主体でしたが、今日はリスク管理、つまり、どちらかというと無駄をしてでも失敗する可能性を減らすためにはどうすべきか、ということについて書いてみます。
開発プロセスは、このリスクを減らすために存在します。プロジェクトが失敗する可能性を減らすために、いろいろと手順や儀式を決めて、その通りに進めることによりプロジェクトが破綻するリスクを減らします。ですので優れた開発プロセスはリスクをコントロールすることができるはずです。
ただし本当に意味のある、効果的なリスク管理はもっと別なところにあると思います。タイトルにある「小さなリスク管理」です。プロジェクトにおいて日常発生するさまざまな細かいリスクをきちんと対処していけるかどうかということ、これに尽きます。例えば問題点をバグトラッキングシステムのようなものできちんと管理しているか、みんながそれを常に見ているか、きちんと対応しているか、そういった実行面がきちんと回っているかどうかが、本当のリスク管理ではないでしょうか?
少なくとも週1回の定例ミーティングを開いて「そのときだけ」リスク項目の消しこみを行う、みたいな形式的な運用ではリスクが管理されているとはいえないでしょう。