システムのセル生産方式の問題点

投稿日:2007年05月21日 作成者:yasunaka

以前、少量多品種生産に向いたセル生産方式という考え方をシステム開発の現場に適用する話についてブログで書きましたが、今回はそれを実施するにはどんな問題点があるのか考えてみます。

やる人のモチベーションを高く保ちやすいという点でメリットの大きなセル生産方式でうが、最大の問題点は人がどれだけ確保できるか、という点にあると思います。セル生産方式は非常にスキルの高いエキスパートをベースにした生産方式なので、おのずとそのようなエキスパート人材をどれだけ確保できるかで、できることが限られてしまいます。実際、そのようなスキルの高いエキスパートというのはそうそう確保できるものではありません。

最近、システム開発時に実際にこのセル生産方式に近いことを適用しているケースについて聞いたのですが、そこでは最初の雛形の作成をエキスパートに作らせ、そこでいいものが出来上がったらそれをベースにして、大量に作る部分をもう少しジュニアレベルのプログラマを大量投入して作らせる、という折衷案方式にしているとのことでした。確かにこのやり方ならば少ないエキスパートを有効活用していることになります。また優れたエキスパートの成果物をベースに仕事を進めることで、ジュニアレベルのプログラマ達のスキルアップにもつながるかもしれません。

もうひとつ考慮すべき点として、テスト工程について専門部隊でするべきか、同じチームの中でやるべきかという点があると思います。エキスパートチームの負荷を少しでも下げて生産性を向上させるためには、その中のテスト工程は別のチームにさせたほうが良いのではないか、という点です。

これについては(1)どのレベルのテストを専門部隊でさせるのか(2)テストチームのモチベーションをどう確保するのか、という点をうまくコントロールできるのであれば、専門部隊化して分業体制にするのも良いのかもしれません。専門部隊として切り出してテストを実施するというからには、ある程度形式化して分業できるようにすべきでしょう。