心に残ったユーザからの一言
投稿日:2007年05月10日 作成者:yasunaka
今までのシステム開発を通して、ユーザから言われたことの中で、心に残った一言を1つ御紹介します。
「システムとは皆が使う入れ物なんだ。」 これは今から10年以上前、あるシステムをリリースしたものの、なかなか現場で利用されない状態になってしまったときに、あるユーザの方から言われた一言です。
私はそのときまで、カッコいいシステムに憧れて、最先端の技術をふんだんに使ったシステムを作ることにやりがいを感じていました。そのときに作ったシステムも技術的には自分なりに「いけてる」と思って取り組んでいたのですが、特定ユーザのニーズのみを考え、関連する他のユーザのニーズの取り込みをおろそかにしたために、業務的にうまく回らない状態になってしまっていたのです。
その当時親しくさせて頂いていたあるユーザの方が、机の上のトレイを手に持ち、こう言ってくださったのです。「このトレイは単なる入れ物に過ぎないけど、みんながルールを決めてこの上で書類をやり取りしだすと、これはもう、立派なシステムになっているんだ。」
そう、システムというのは皆が使って初めてシステムになるのです。ことわざに「仏作って魂入れず」というのがありますが、私はまさに魂を入れ忘れていたのでした。
今でも新しいシステムを設計するときにはいつも、このときのユーザの方の言葉を思い出し、このシステムは皆が使ってくれる器になってくれるのだろうか? そんなことを考えるようにしています。