Enterprise 2.0の9倍問題
投稿日:2008年05月09日 作成者:yasunaka
ZD Net Japanのちょっと前の記事で、勝者と敗者を明確にするところに真の価値がある – Enterprise 2.0 SUMMITレポートというのを読みました。Enterprise 2.0という言葉は、ここで質問に答えているハーバードビジネススクール准教授のAndrew McAfee氏が提唱した言葉だったんですね。
ちょっと注目したのが、McAfee氏が「9X Problem」と呼んでいるものです。簡単に言うと、既にあるツールと新しいツールを比較する場合、使い慣れたものは3倍良く評価され、新しいものは3分の1の価値でしか評価しれもらえないので、既にあるツールを新しいツールで置き換えるには9倍以上いいものでないと受け入れてもらえないよ、ということらしいです。
9倍ねぇ。ボタンが9倍でかいとか、文字が9倍でかいというのならすぐわかるのですが、「良さ」が9倍というのは実際なんのことか、よくわかりません。ただ言わんとしていることは、革新的に良くならないと、ツールの移行は進まない、ということなのですね。
McAfee氏によると、Enterprise 2.0とは「企業内や企業間、あるいはパートナーや顧客との間で自由にソーシャルソフトウェアプラットフォームを活用する」ことらしいのですが、ここで言うソーシャルソフトウェアプラットフォームとはあるグループ内でコミュニケーションや情報共有を行うためのソフトウェアのことです。
一般にコミュニケーションや情報共有をする際には文章や図などを書いて、それをみんなに読んでもらう、という形式が一般的です。メールもWikiも掲示板も、結局のところ「何かを書いて、みんなに見てもらう」ということをシステム上で実現しているのに過ぎません。
9倍ルールで革新的に良くなろうとした場合、そもそもこの基本的な「何かを書いて、みんなに見てもらう」という部分を変えない限り、なかなか難しい気がします。この基本路線が同じである限り、目先を変えたところで「同類」とみなされてしまうのではないでしょうか?
「何かを書いて、みんなに見てもらう」という部分から離れて、システムにしかできない新しいコミュニケーションのあり方を実現したときに、初めて革新的なコミュニケーション手段が生まれると考えています。
# それがcrossnoteでありますよーに。 😎