藍屋の白袴

投稿日:2007年11月26日 作成者:yasunaka

今日のタイトルは「藍屋の白袴」としてみました。この「藍屋」の1つの例として、IT業界を取り上げてみたいと思います。

最近マーケティング資料を作っている中で、ちょっと驚きの数字を見つけました。

JISA(社団法人情報サービス産業協会)の出している統計で、2007年版情報サービス産業基本統計調査というのがあります。このなかで、売上高設備投資率・情報化投資率という項目があり、IT企業が売上高に対してどの程度の割合の金額を情報化投資に回しているのかについての統計が載っています。

グラフを見るとよくわかるのですが、IT企業のうち、売上高に対して情報化投資の金額の割合が「たった」0.5%未満しかない一番端の部分がもっとも山が大きくなっています。統計値で見ても中央値が0.63%、加重平均値で2.42%という結果です。ちなみに加重平均が中央値よりもだいぶ大きめになっているのは、がんばって情報化投資を行っているところもあって、そこが全体の水準を押し上げているのだと思われます。

この中央値が0.63%だ、という事実。これはあまりにも情けない水準だと思いませんか? IT業界が業務の効率化のためのIT投資を行っていない、という事実なのです。実際、日本のIT業界は建設業界と同様に、人月単価の世界です。なので、生産性が上がれば収益が下がる、というトンでもない構造になっているのです。しかもそれでは付加価値はほとんどないため、収益率は非常に薄いものになってしまっていて、結局は自らの首を絞めてしまっているのです。

他の指標を見ても、売上高研究開発投資率に至っては中央値が0.06%、加重平均が1.15%という水準です。これでは日本がITにおいて世界の中で遅れた存在になってしまってもしょうがないことを裏付けている事実だと思うのです。

皆さんはこの事実をどう考えますか?