握る

投稿日:2007年11月16日 作成者:yasunaka

昔、プロジェクト・マネージャーの研修を受けたときに、顧客と「握る」ことの重要性を習ったことがあります。「握る」とは、私なりに解釈するならば、

1.システムの目的(何のためにやるものなのか)をはっきりさせ、
2.目的に沿った形で要件の大枠を固め、
3.要件の範囲内で十分であることを顧客側の実質的なヘッドに納得させる

行為です。最初に握れるかどうかがシステムの成否を決める、と教わりました。

今ASP(今流に言えばSaaSか)を扱っていますが、この「握る」という行為はASPやSaaSの場合、存在しないんですね。握る場合にはお客様の代表がいなければならないのですが、ASPやSaaSの場合、当然そのような方はいらっしゃいません。お客様は皆、お客様なわけで、ある客様との間で「握った」としても、他のお客様がそれで満足するとは限りません。

ASPやSaaSの場合、そこから収益が得られているならばどんどん改善していくことができるということ、そして対応する要件の優先順位の決定権が、最終的には提供する側にあるということが「握れない」ことへの代償といえましょう。

とはいえ、お客様からの要望は最優先ですね…