経営力

投稿日:2007年10月16日 作成者:yasunaka

今、居酒屋で有名なワタミの社長をしてらっしゃる渡邉美樹さんが書いた、「もう、国には頼らない。」(日経BP社)を読んでいます。まだ読みかけなのですが、非常に共感・感銘できる内容で、夢中で読んでいます。

市場主義とは消費者が選ぶ直接民主主義の1形態であり、競争の原理を公のサービスにも導入することにより、大幅にサービスを改善することができること、そして本来「官」に求められるべき機能とは、フェアであることを監視する機能と、セーフティ・ネット(弱者保護)に絞られるべきである、という主張は非常に明快で、痛快ですらあります。

渡邉美樹さんの言う市場主義とは、あぶく銭を掠め取ることではなく、お金という投票用紙を用いた直接民主主義を用いて切磋琢磨しながら正しく経営、つまりマネジメントすることを指します。こういったノウハウを持っているのは、民間企業です。

つまり、結果として今まで公=官と考えられてきた分野でも、実は民間が行ったほうが効率的にサービスを改善できるということになります。そういえば最近郵便局が民営化されましたが、先日近所の郵便局に行ったらそれまでと対応が一挙に変わって銀行窓口並みにサービスに気を配るようになっていてびっくりしたのですが、こういったことも上記のことを立証する1つの事例かもしれません。

よく「お役所仕事」と揶揄されることとして、役人はプロセスに則ったことを淡々とこなしているだけ、という批判があります。プロセスにさえ合致していれば責任を取らされることはないので、それ以上「改善」しようと努力をしない、という話です。組織が巨大化してくるとある程度プロセスは重要になってきます。しかしだからといって、競争のない世界で同じことだけを繰り返していては組織は硬直化し、活力が失われ、金が無駄に使われ、ユーザが受けるサービスが最低になっていくことは、皆さんも百も承知の話だと思います。

これって、プロジェクトでも同じことが言えますね。重要なのはプロセス通りに進めることではなく、競争を意識した「マネージメント力」だと思うのです。

もし、自分の仕事にどこか「官僚的」なものを感じるのであれば、何かのヒントとして、ぜひ読んでみてください。読んで損はしない本だと思います。