CDS – Collaborative Documentation Service
投稿日:2007年10月05日 作成者:yasunaka
CDS – これはCollaborative Documentation Serviceの頭文字をとったものです。以前のブログにも書いたとおり、このCollaborative Documentation Serviceというのは、crossnoteのキー・コンセプトです。
これを一言で説明すると、以下のようになります。
Collaborative Documentation Serviceとは –
『ドキュメントを書き換えてコミットするだけで、対象者に「どこ」が「どう」変わったのかを伝える仕組み』
私が何でこれを思いついたかというと、プロジェクトで次のようなことが良く起こっていたからです。
1.最初のうちはきちんと仕様をドキュメントに書いています。
2.プロジェクトが進むにつれて、様々な仕様変更が発生します。その仕様変更について、メール上でああしよう、こうしようとやり取りします。
3.プロジェクトが忙しくなってくると、上記の仕様変更内容をドキュメントに反映し忘れ始めます。
4.これではイカンということで、ドキュメントを修正してメールで回覧する方式にすると、様々なバージョンのドキュメントが散乱することになり、それはそれでどれが正式の仕様なのかがわからなくなりがちです。またちょっと直しただけで毎回でかいドキュメントを送りつけられ、どこが変わったのかをチェックしなければならない受け取り側もえらい迷惑です。
5.最終的に、ドキュメントは「当初の」考えを示すだけのものになり、実際の仕様とは大きく乖離した状態になる場合があります。こうなってしまってはなかなかドキュメントを修正する気力も出ません。
6.さらに後になって、仕様がどうだったかを調べようとすると、ドキュメントとメールの両方を調べなければわからず、大変な思いをします。
皆さんはどうですか? いつも完璧にこなしているという方もいらっしゃるかもしれませんが、私は恥ずかしながら、上記のような状態になることが多かったです。でもそこでふと考えたのです。そもそもメールとドキュメントの2つのものを同時に書かなければならないことが間違っているのではないかと。
ドキュメントの情報は後で参照するときに体系だてて理解できる構造になっています。一方のメールの情報は順を追って読まないとわかりづらく、また体系付けられてもいません。
では、メールを書くのではなく、ドキュメントを修正したら自動的に差分が通知されるようにしてはどうか? その差分の情報をメールのように皆に通知してはどうだろうか? さらに自分の「考え」を説明するためにコメントなどをいろいろと付けて、そのコメントをやり取りできるようにすれば、もうメールは要らないのではないかと。
これがCDS – Collaborative Documentation Serviceを思い立った原点です。プロジェクトが破綻する最大の要因は、仕様を纏め上げる作業、すなわち上流工程に問題がある場合だと思います。プログラミングの世界ではどんどんシステム的なサポートが充実してきているのに、上流工程部分にはシステマティックなサポートがありませんでした。この仕様をまとめ上げる仕事を少しでもバックアップできるような仕組みとして、このCDSを普及させていきたいと思います。