技術レベルと評価

投稿日:2007年09月04日 作成者:yasunaka

持っている技術水準やアウトプットの水準はむちゃくちゃ高いのに、あまり評価してもらえない人っていませんか? 逆に技術水準はそんなにでもないのだけど、やたら受けのいい人もいる。この「実際に仕事をこなす能力の高さ」と「評価」との乖離はなぜ起こるのでしょうか?

私が経験上感じていることとして、非常に高い評価を受けていた人が他に移ったときに、必ずしも前回と同じ高い評価を受けるとは限らない、ということがあります。おそらくその人は前回と同じ水準のアウトプットを出すと思うのですが、それでもなぜか、評価というのは周りの人によって大きく変わってくるのです。つまり、以前ものすごいいい評価を得ていた人が、会社を転職したり、まったく直接関連のないプロジェクトに移ったりしたときに、同じような評価を受けるとは限らない、ということなのでしょう。

この評価の「ぶれ」は、評価というのは結局、主観的に判断されることから発生するのだと思います。もしプロジェクト内における、ある人の働きぶりについて判断しろ、と言われたら、ほとんどの人はその人に対する「印象」をベースに判断すると思います。ところが、その印象には「実際に仕事をこなす能力の高さ」が大きく反映されるとは限らないのでしょう。

そもそも、人がある人に抱く印象というのは、最初に出会ったときのほんの数秒ですべてが決まってしまう、という話があります。最初にパッと見たときの印象で「この人は仕事ができそうだ」と思ってしまうと、その人に関するいろいろな話題のうち、仕事が出来そうだという印象を強化する情報ばかり取り込んでしまいがちです。一方で、同じように最初の印象が「なんかあまり出来なそう」と思ってしまうと、その人に関するいろいろな話題のうち、ネガティブな情報ばかりを取り込んでしまいがちなのだと思います。

正確に人を評価するには、できるだけ主観を外す必要があります。でも主観のない人の評価なんで、まず無理ですよね。実際、成果物(アウトプット)だけで評価すると、過程などが判断材料から外れてしまい、それはそれで評価としては適切ではない結果になってしまう可能性があります。

できるだけ自分の心の偏向・バイアスを取り除き、適切な評価を行うためには、例えば心象がネガティブな人に対しては逆にできるだけ心象を良くする事実を集めるとか、心象が良すぎる人については逆に冷静にネガティブな情報を集めるとか、そういったことを意識的に行わなければならないのだと思います。