リスク・エクスポージャ
投稿日:2007年08月03日 作成者:yasunaka
以前、@ITに書いた記事の内容と関連しますが、今日はリスク・エクスポージャという概念をご紹介します。
リスク・エクスポージャはもともと金融の世界の概念です。金融の世界では、今自分が持っているポジション(例えば株や債券など)がどれだけ「やられる」可能性があるのか、それを金額で表した数字をリスク・エクスポージャと呼んでいます。現物資産(株や債券)の場合、その現物の金額に「やられる確率」(リスクの発生する確率)をかけて求めます。数学の期待値というヤツと一緒です。
この概念を用いると、システムのプロジェクトが抱えるリスクを金額で表示することができるようになります。つまりプロジェクトが失敗することにより、どういったコストがかかるのかを原因別にリストアップし、それらのコストと発生しうる確率を求めて掛け合わせて各要因毎のリスクエクスポージャとします。そしてそれらを全部足し合わせたものがプロジェクトの抱えるリスクエクスポージャとなります。(@ITの記事では、これをテスト不足によって発生するリスクエクスポージャとして求め、テストの金額を求めるということを書いています)
私の敬愛するトム・デマルコさんのティモシー・リスターさんとの共著「熊とワルツを」(日経BP社 伊豆原弓訳)の本でもこのリスク・エクスポージャについてわかりやすく説明しています。お勧めです。
なぜこれを書いたかというと、この概念はプロジェクトマネージャであれば皆が知っているべき概念だと思うからです。プロジェクトにはリスクがつき物です。リスクがあるのは、おそらくどんなプロジェクトマネージャでも知っていることだと思います。でも、それを適切に表現する方法を知らない。こんなリスクがある、あんなリスクがある、ということは言えても、それがどれだけ深刻なものなのかを表現する術を持っていないと思います。
そこで、リスク・エクスポージャの出番です。そのリスクを金額で表現してしまうのです。みんな、お金になっているとわかりやすいでしょ。例えば、このリスク・エクスポージャは1億円相当だ、なんて言われたら、目の色を変えて対応しますよね。
ぜひうまく活用してみてください。