プロジェクト・チームの勲章

投稿日:2007年07月24日 作成者:yasunaka

昨日は「生きたプロセス、死んだプロセス」という題名で反復可能で改善可能なプロセスの話を書きましたが、今日もそれに関連した話題です。

もし、あるプロジェクト・チームが優れた、反復可能で継続的な改善可能なプロセスを長年培ってきたとします。ではそのプロセスを標準プロセス化したら良いのではないか? そう考える人もいるでしょう。 でも、おそらく、それを標準プロセスにして他のプロジェクト・チームにそのまま適用したとしても、結局は昨日書いた「死んだプロセス」になってしまうと私は考えています。

優れたプロセスとは各プロジェクト・チームが徐々に改善を積み重ねて編み出していくものだと思うからです。せっかくの優れたプロセス定義があったとしても、なぜそれが必要なのか、それによって何を得ようとしているのか、そういった背景的なことも含めて良い点、悪い点を理解していないと、宝の持ち腐れならまだ良いほうで、場合によっては足を引っ張るだけになりかねないからです。

プロジェクトが必要とする最適なプロセスとは、そのプロジェクトによって少しずつ異なっているはずです。また手法や開発技術は日々進化しています。また優れたプロセスでは、常に継続的な改善が必要とされます。だから決して「標準プロセス」というのはテンプレートにすぎず、固定的、決定的なプロセスというのは本来存在し得ないはずなのです。

すぐれた開発プロセスというのは、その開発チームの勲章のようなものだと思います。部門毎に異なるプロセス定義を持つ状態よりも標準プロセスに準拠した状態のほうがより上のレベルであると一般にいわれていますが、各プロジェクトが改善と最適化を遂行した結果としてそうなっている場合のことを考えると、常識のウソの1つではないかと考えています。