見えない費用対効果
投稿日:2007年07月06日 作成者:yasunaka
システム導入の検討事項としてもっとも端的に、かつ最重要といわれることに費用対効果があります。システム導入にかかる費用と、その結果得られるベネフィットをそれぞれ金額換算するわけですが、事務作業の合理化のためのシステムならば比較的スムーズに金額換算ができるものの、ナレッジ系のシステムとかCRMとか、世の中には効果を金額換算するのが難しいシステムも多々あります。
そういったシステムの場合、それを提供しているベンダーが出した費用対効果の数字にどれだけ信憑性があるか、という問題があります。第三者機関が学究的・客観的に算出したというのならばいざ知らず、一見第三者機関に見えるものの、そのベンダーが金を出していたりなど、とても信用できないケースもあるからです。そしてIT系のコンサルティング・ファームが出した数字を鵜呑みにして導入したのに、蓋を開けてみたらさっぱり違っていた、なんていうユーザ企業側の話も良く聞きます。
システムを導入するとかなり効果があるのはわかっている、でもその導入の効果と対象事業から得られる利益との相関関係を説明できない。このようなケースではそもそも費用対効果という単純化した金額に換算することがナンセンスなのかもしれません。
言い換えると、費用対効果では信憑性のある数字が得られないものでもそれっぽく費用対効果を算出しなければならない、というプロセスに問題があるのだと思います。つまり「システムを導入するときには費用対効果は算出するものだと決まっている」ことが問題だと思うのです。
金額換算が難しいとしても、システム導入の効果は、金額以外の要因については客観性をもって表現できる場合があります。怪しげな金額を信じるよりはむしろ、客観的に正しいと考えられる事柄を判断基準として採用したほうが、より正しい結論が導き出せるのではないでしょうか?
でも、これだけでは「よーし、良くなるのはわかった。でも導入すべきかどうかはわからん」という結果になります。つまり金額とは異なる判断基準の軸が必要だということになります。
もし企業がKPI (Key Performance Indicator)を定めていれば、それに照らし合わせるというのが筋だと思います。じゃあそれがない企業ではどうすべきか? うーん、今後の課題ですね。