NTT東日本のIP電話のトラブルから何を学ぶか
投稿日:2007年06月13日 作成者:yasunaka
5月末にかけて、NTT東(西)日本のIP電話サービス「ひかり電話」関連の障害のニュースが続きました。5月23日に起きたのは東西間接続装置のハードディスク交換時に作業ミスで誤ったコマンドを送信したのがきっかけで東西間の通話が普通になったという件。一方5月30日には、ルーターのソフトウェアのバージョンアップに絡んで、着信できなくなる障害が発生した、という報道がありました。
この2つのトラブルは、もちろん直接的には別々の原因から起こっており、たまたまトラブルが続いた、ということだと思うのですが、システム屋の観点から気になったことを書いてみたいと思います。それは、こういったトラブルから何を学ぶか、ということです。
私が一番気になったのは検証環境での事前テストはやったのだろうか、という点です。システムにはバグがつき物です。新しいものを入れたときにトラブルが発生するというのは良くある話です。トラブルの原因は個別にいろいろあって、完璧にトラブルはなくすスペシャルな方法はないと思いますが、本番適用の前に、事前にトラブルを検知することは、ある程度できるはずです。つまり検証環境を用意して、そこで「事前にチェック」することで、本番でのトラブルを回避できたかもしれない、という点です。
検証環境は本番環境そのものではないので、必ずしもすべてのトラブルをあぶりだせるわけではありません。しかし、できるだけ本番環境に近い状況を擬似的に作り出したり、場合によっては本番環境以上に厳しい状況を人工的に作り出すことによって、どんなことが起こるのかを事前に確認することができます。
検証環境においてテストをシステマティックに回すというのも、高度なノウハウが要求される分野です。ただ単に検証環境で動かせばいいというものではありません。トラブルをあぶりだすには、総合的なチェックにとどまらず、やばそうな部分を予め抽出しておいて、その部分については重点的にチェック(ストレステストなど)するということも必要になります。
トラブルを繰り返さないためには何をすべきか。常に考えていきたいと思います。