一人が仕様を決める、とは

投稿日:2007年04月17日 作成者:yasunaka

昨日の曖昧な仕様でプロジェクト・オーナーを1名決めて、その人が勘と度胸ですべての仕様を決めていく、というスタイルのほうが実は費用対効果が優れていることが多いと書いたのですが、これってちょっと誤解を招きやすい表現なので、もう少し説明します。

ここでいうプロジェクト・オーナーとは「ユーザ側の立場の代表」であり、「専門家」である必要があります。単に闇雲に仕様を決めてしまう人ということではなく、ユーザ側が何を欲しているのかが裏の裏までわかっていて、ユーザ側の意見を集約することのできる人、かつ実務にも詳しい人、ということになります。ちなみにユーザ側の立場の代表はユーザの団体・法人に所属していなければならないというわけではなく、本当にユーザ側の立場で思考できる人であれば良いのです。

このような人を設計・開発体制の中に入れ、権限を与えることができれば、おそらくもっとも効率が良くプロジェクトが進み、出来上がったプロダクトも現場のニーズにこたえたものになると思います。

こうやって指名されたプロジェクト・オーナーは権限もある代わりに非常に責任も重大です。この人の考え方次第でシステムがうまく稼動しなかったり、プロジェクトが頓挫するリスクもあります。プロジェクト・オーナーは説明責任を負いますし、かなり大変な仕事には間違いないのですが、特別なタイトルであり、成功報酬型にすることにより、非常に優秀な人にインセンティブを与えながら遂行してもらうことができるようになると思います。

アジャイルの手法の中にはこのようなプロジェクト・オーナーのような人(ユーザ側代表)にプロジェクトに入ってもらうということを薦めているものもあるようですが、まさにそれです。ただしできるだけ強い権限をその人に集中させるべきだと考えています。

日本の会社の中ではなかなかこのような体制に移行できるところはまだ少ないと思いますが、こういう体制でプロジェクトが進められる会社は非常に競争力の強い会社になると思います。