ドキュメント指向コミュニケーションについて考える

投稿日:2008年03月24日 作成者:yasunaka

ドキュメント指向コミュニケーションとは、以前Collaborative Documentation Serviceと呼んでいたものとほぼ同じものです。Collaborative Documentation Serviceという言い方だと、何が出来るようにするためのものかがはっきりしませんでした(そもそも何のことだかよく分からん、というのもありましたが)。

ドキュメント指向コミュニケーションはその名の通り、「コミュニケーション」、つまり相互に理解し合うようにやり取りをすることが目的です。そのコミュニケーションを「ドキュメント」を元に行ってしまおう、という考え方です。

通常、例えばAさんとBさんがいて、AさんがBさんにメールで何か仕様に関することを伝えようとしているとします。この場合、Aさんが書くメールには、AさんとBさんの共通認識になっていることは書かずに、共通に認識されていないことを書くと思います。

AさんとBさんの共通認識になっていることは、ドキュメント化されているとしましょう。そしてAさんとBさんの共通認識になっていないこと、これがドキュメントの「変更差分」です。Aさんがドキュメントに書き加えたこの「変更差分」を自動的にやり取りできるようにすることで、コミュニケーションが取れるようにしてしまおう、という考え方がドキュメント指向コミュニケーションです。

もちろん「変更差分」は結果を通知するだけなので、互いの考えを表明しあう検討段階のやり取り(私はこう思う、のようなもの)はメールのようなフロー型の情報のやり取りで行うのが自然です。ドキュメント指向コミュニケーションにおいてもこのようなフロー型の情報のやり取りは必要で、例えばcrossnoteではコメントや質問の機能が相当します。

ただこの場合でも、ドキュメント指向というからには、それらのフロー情報もドキュメントに紐付いているわけで、後でドキュメントを参照すればそれらのフロー情報のやり取りも同時に参照できるようにすべきです。このように紐付けしておくことで、ドキュメントと一緒に、フロー情報としてやり取りされた非常に有用なナレッジが蓄積されることになります。

わたしはできるだけ多くの人に、「ドキュメント指向コミュニケーション」という考え方を理解してもらえるようにしていきたいと思います。