パッケージに向くもの、向かないもの

投稿日:2007年09月19日 作成者:yasunaka

先週のブログで受託開発からの脱皮をテーマに3回ほど書きましたが、今回は脱<<受託開発>>を考える上での問題点として、「パッケージに向くもの、向かないもの」について触れておこうと思います。なおここでいうパッケージ化とはいわゆるパッケージソフトだけでなく、ASPやSaaSなど、広い意味で特定の業務をサポートするソフトウェアやサービスを提供することを意味するものと捉えてください。

いくらソフトウェアの世界はパッケージによる展開が魅力的だとしても、なんでもかんでもパッケージ化が可能なわけではないのは皆さん百も承知の事実です。パッケージ化が可能なのは同じものを複数のお客様に売る(もしくはサービスする)ことができる場合であって、そのような見込みのないものであればパッケージ化する意味はありません。

今まで日本のソフトウェア開発に受託開発が圧倒的に多かったのは、パッケージによる展開をやろうにも、個別のお客様専用のソフトウェアのためパッケージ化が出来なかった、というように主張される方もいらっしゃると思います。確かにこれはもっともな主張のように聞こえます。

でも実はこれも大部分のケースは、開発する側がお客様の業務を理解していないために必然的にそうなってしまっているに過ぎないのではないかと私は思っています。

お客様の業務を深い部分で理解していれば、お客様からの要求仕様をそのまま鵜呑みにするのではなく、より深いレベルでの抽象化が可能なはずです。つまり、業務を理解していないがために適切な抽象化ができないので、様々なお客様に対するニーズにこたえられるようなシステムとして設計できないのではないか、ということです。

パッケージ化を阻害するより現実的な問題としては、上記のような抽象化を適切に行えるようになるにはかなりのノウハウの蓄積が必要で、将来売上げの見込みが立つかわからないものに対してそのようなノウハウ蓄積のために必要なコストを現時点で払うことができない、ということがあります。また商売として考えたときに、たとえすばらしいパッケージソフトが出来たとしてもそれが売れるかどうかは別問題ということもあります。これらのビジネス的な要因でパッケージ化をあきらめるのは当然、正しい選択だと思います。

ということは、(当然のことですが)パッケージ化を行うためにはマーケット分析がとても重要です。今後、対象の業務についてのニーズがどれだけ増えるのか、正しく予測することが必要だということです。

業務がわかっていれば、対象業務領域についてのマーケット分析もより確実にできると思います。もしそれが将来的に有望な市場で対象業務について確実に拡大が望めるのであれば、パッケージ化をぜひ検討すべきだと思います。